IBM WatsonよりすごいAI?

 富士通(田中達也社長)は、2020年までに関連商談で累計3200億円規模の売上高を見込むAI「Zinrai」を、デジタルトランスフォーメーションが進む市場で勝ちぬくための重要商材と位置づけている。目下、ユーザーのさまざまな業務で実際に活用シーンを広げていくための取り組みを急ピッチで進めているが、「働き方改革」のソリューション提案においても、Zinraiのポテンシャルをフル活用する方針だ。(本多和幸)

 Zinraiの活用範囲を拡大していくべく、富士通は、ニーズの調査をもとに抽出した30種類の「基本API」と「目的別API」を今年春から順次提供している。基本APIは、画像認識、音声テキスト化、感情認識、視線検知、テキスト解析、知識情報構造化・検索、推論、予測、最適化、マッチングなど18種類。目的別APIは、基本APIの組み合わせなどで実現したもので、専門分野別意味検索やクレジットスコアリング、需要予測、対話型ボット、文書・会話翻訳など、13種類を今年度(2018年3月期)内にリリースする予定だ。

 富士通は、顧客やパートナーとの共創をさらに進めるべく、新たなプライベートイベントとして「Fujitsu Insight」を立ち上げた。10月から11月にかけて全4回開催する予定だが、初回となった10月18日は、「働き方改革」をテーマに掲げ、Zinraiを活用した“未来の働き方”についても提言。働き方改革×Zinraiを、キラーコンテンツに育てたいという意気込みが感じられた。
 
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中山五輪男
首席エバンジェリスト

 同社の中山五輪男・常務理事グローバルマーケティング部門首席エバンジェリストは、「600件以上の案件がZinraiで動いている。その活用領域はバラバラで、こんな使い方ができるのかというくらい、さまざまなAPIが用意されている。Zinraiのエコシステムは大きく社会を変えていく可能性がある」と、その可能性の大きさを強調する。中山首席エバンジェリストは今年8月に現職に就いたが、それ以前はソフトバンクの首席エバンジェリストとして、Zinraiの競合ともいえる「IBM Watson」の普及拡大を推進する立場にあった。その経験を踏まえ、「ZinraiはWatsonを超えているかもしれない。Watsonはチャットボットでの活用事例が多いが、Zinraiは幅広い領域をカバーしている。うまくアピールできていないが、本当にすごいことができるAIだ」とコメントした。

 すでに、ヘルスケア、社会インフラ、コールセンター、流通、製造、保守保全といった分野で導入事例は出てきているが、富士通は、働き方改革に貢献する汎用的なZinrai活用ソリューションとして、企業内の「ナレッジ共有・活用」ソリューションを有望視している。企業内に蓄積されている大量の文書から、キーワードを含む文書を検索するだけでなく、Zinraiの機能により、文書全体に使われている言葉などから類推して関連する文書を関連性が高い順に抽出する。エンドユーザーが“未知の役立つ文書”と出会うサポートをしてくれるソリューションで、研究開発部門の研究成果の共有や、過去の契約書から似た案件を探す場合などに役立つという。中山首席エバンジェリストは、「会社のなかは情報に溢れているが、欲しい情報を探すのにものすごく時間がかかったり、みつけることができなかったり、大きな課題を抱えている。Zinraiを使えば、さまざまな情報の関連性から、AIが整理して、欲しい情報はこれじゃないかということを教えてくれ、埋もれている企業ナレッジを簡単に探し出すことができる」と説明。Zinraiが、業務の効率化や生産性向上に大きな役割を果たす可能性があることを強くアピールした。