オンラインストレージの米Boxは、向こう3年をめどに連結売上高10億ドル(約1100億円)の達成を視野に入れる。昨年度(2018年1月期)の売上高約5億ドルから倍増させる計画だ。ユーザー企業のデジタライゼーションの潮流が後押ししていることや、グローバル進出が順調に進んでいるほか、Boxの新しいプロダクトやサービスの投入予定があることなどが、業績を伸ばすエンジンとなると同社ではみている。

 ここ数年、米Boxの売上高の伸び率は年平均で約30%で推移しており、この勢いで「年商10億ドルの達成に向けて力を注ぐ」と、米Box共同創業者のディラン・スミス最高財務責任者(CFO)は話す。日本法人のBox Japan(古市克典社長)も、米本社と歩調を合わせるかたちで、国内従業員数を直近の約100人から倍増させる計画だ。この8月にはオフィスを大幅に拡張しており、「増員分を収容できる大きさ」(古市社長)とした。

 国内のビジネスを俯瞰してみると、「働き方改革」の文脈でBoxサービスを活用したデジタライゼーションの動きが活性化している。Box Japanの調査によれば、国内でBoxサービスを利用しているユーザーの85%が、「社外であってもオフィスと同じように仕事ができる。または必要なファイルにアクセスできる」としている。Boxのようなクラウドサービスを利用していないユーザーで同じような環境にあるのは、わずか19%にすぎなかった。このことから、Boxサービスを使うきっかけが「働き方改革に欠かせないワークプレイスの選択の自由」にあると分析している。

 「ワークプレイスの選択」では、働く場所や時間帯、同僚の勤務時間に制約を受けない柔軟な働き方をBox Japanでは想定している。在宅勤務に偏りがちな従来のテレワークのイメージから脱却して、Boxサービスのより広範囲な活用につなげていく。

 具体的には、Boxサービスを「新しい働き方の基盤」(古市社長)として位置付け、グループウェアやオフィスソフト、ワークフロー、文書管理、ビジネスSNS、複合機などさまざまなサービスや製品との情報連携を推進。働き方改革で必要となるサービス/製品のデータやコンテンツ管理をBoxプラットフォームが担っていくエコシステムの構築に一段と力を入れる。Boxと連携する国内パートナーは直近で147社に増え、これらを販売する正規代理店は約200社の体制となっている。

 先述のように、グローバルの連結売上高は大きく伸びているが、利益面では依然として赤字の状態が続いている。ビジネスが順調に拡大していることを受けて「短期的に黒字化することは可能」と、米BoxのスミスCFOは自信を示す。しかし、一方でライバル他社の動向や、次期サービス/製品への投資も含めて「バランス感覚をもって臨む」と、Boxサービスのポジションやビジネス環境をにらみながら黒字化のタイミングを推し測っていくとしている。(安藤章司)
 
Box Japanの古市克典社長(左)と米Boxのディラン・スミスCFO