クラウド型経費精算システムを提供するコンカー(三村宗社長)が、出張管理クラウド「Concur Travel」に、従業員の危機管理機能「Concur Locate」を追加した。不安定な世界情勢や勤務地のグローバル化などにより、出張先での従業員の危機管理に対するニーズが強くなっている。コンカーは新機能により、企業のDuty of Care(安全配慮義務)をサポートしていく方針だ。この分野では目立った競合がなく、新たなマーケットを開拓することになる。

コンカー
三村真宗
社長
 従業員の危機管理においてコンカーが課題だと指摘するのは二点。旅程情報と危険情報の不足である。従業員が自己判断で宿泊地や移動方法を予約し、旅行会社に丸投げすると、企業は従業員の居場所を把握できない。また、災害やテロの際、情報の取得をニュースに頼るしかなく、状況の把握も従業員からの連絡に依存することになる。そのため、従業員が危険な状況にあるとしても、タイムリーな安否確認や支援ができない要因になっている。

 Concur Locateは、移動手段の利用、宿泊、カード決済などのデータを基に従業員の位置情報を把握するとともに、デンマークのリスクライン社によってスクリーニングされた、災害やテロなどの危険情報を取得する。二つの情報を照らし合わせることで、従業員が危機に瀕している可能性を検知し、リストを作成、安否確認を行う。

 
SAP Concur
マイケル・エバハード
プレジデント
 さらに今後は、予約メールをスキャンして一元管理することで旅程情報をまとめる「TripIt Pro」や、国内出張を管理する「Trip Link」を順次提供していく予定。旅程情報と国内出張の管理機能を追加することで、出張に関わる全てのプロセスを包括的にカバーすることになる。

 マクロミルの調査によれば、88%の企業が危機管理プロセスの重要性を認識していながら、自社のプロセスに課題を感じているという。こうした潜在ニーズに応えるべく、コンカーは従業員の危機管理という新市場を開拓していく。SAP Concurのマイケル・エバハード・プレジデントは「日本は米国以外では、最も大きな市場。全力をささげるつもりだ」と日本が重要な立ち位置にあることを示した。

 コンカーの売上構成比は、2017年で24%を出張管理事業が占めているが、22年にはこれを40%まで引き上げると言う。この比率は現在主力となっている経費精算を超えており、出張管理への期待値の高さが読み取れる。三村社長は「日本のビジネストラベルマネジメントは、欧米と比べて20年遅れている。この状況を変えていきたい」と意気込みを語った。(銭 君毅)