コンカー(三村真宗社長)は、中堅・中小企業(SMB)向けビジネス強化に力を入れている。2017年に本格化したSMB向けビジネスは、4年後に売上全体のおよそ半分を占めるまで拡大を目指す。実現に向けては、SMB向け新サービスの投入や販売パートナーとの協業、さらには同様にSMB向けビジネス強化を図る親会社のSAPとの連携強化も進める方針だ。(前田幸慧)

 コンカーは、グローバル全体の方針として、7年前からSMB市場への展開に重点を置いている。現在の米国におけるコンカーの販売実績は、大手とSMBでおよそ半々の比率だ。日本では昨年からSMB向けのビジネスを本格化。結果として昨年度、「新規の顧客獲得数は300%増やすことができ、売り上げは50%成長を果たした。中小企業における日本の成長速度は米国よりも速い」と、コンカー本社でSMBビジネスの責任者を務めるクリスタル・ベモントSVP&GM SMB-US/Globalは評価する。

 その背景として、領収書電子化の規制緩和や人手不足による負担の削減、さらには、「経費精算や出張費管理など、間接費全体の管理を可能にする将来的な機能拡張を見込んで採用いただくケースが増えている」と三村真宗社長は説明する。今後に向けては、「今年の全体におけるSMBの売上構成比は24%の見込みだが、4年後には47%まで押し上げたい。米国の市場と同じ状況まで追いつくとみている」と意気込みを示す。

 そのための施策として、SMB向けの新ソリューションを投入する。現在は経費精算サービスの「Concur Expense」が中心だが、今年の夏頃には「Concur Invoice」もSMBが利用しやすい廉価版の提供を予定。「これにより、領収書電子化だけでなく、請求書電子化にも同時に対応できるようになる」(三村社長)。また、運用代行を担うアウトソーシングサービスの提供にも力を入れていくという。

 さらに、これまでコンカーは直販中心で営業活動を行ってきたが、SMB向けについては、販売パートナーとの協業で全国の企業にアプローチしていく考え。すでに「複数のパートナーと話を進めている」(三村社長)といい、具体的なパートナーエコシステムについては今後明らかにするとしている。日本のSMB市場展開は、他のアジア地域で拡販していくうえでの「成功事例」(ベモントSVP)と本社から認識されている。これらの施策でどれだけ成長できるか注目だ。

 また、コンカーは今年3月、ソリューションブランド名を「SAP Concur」に刷新した。14年の買収を経て同社の親会社となったSAPとの連携をより強く打ち出したかたちとなる。

 ソリューション面では、SAPの調達・支出管理のクラウドサービス「SAP Ariba」や人財シェアリングプラットフォーム「SAP Fieldglass」とConcurの連携があげられる。三村社長は、「間接費管理という観点からよりカバーできる範囲が広がるということに私自身、またお客様からも強い期待を感じている」と話す。また、ConcurとSAP ERPのリアルタイム接続を可能にするコネクタとして、「SAP Integration with Concur Solutions」を「年内の出荷を目指して準備している」といい、これによって「従来はConcurとSAPの基幹系システムとはバッチ接続だったが、SAPの基幹系システムに関してはリアルタイム接続ができるようになる」と三村社長は説明する。

 営業・マーケティング面では、従来SAPとは大手企業向けを中心に協業を進めてきたが、今後はSMB向けについても「共同戦線を張っていく」(三村社長)。ここは、これまで欧米でSMB向けビジネスの実績を積み上げてきた点を鑑みて、SMBのユーザーに対する潜在能力があるコンカーがけん引役となる可能性もある。