テックビューロ(朝山貴生CEO)は同社が運営する仮想通貨取引所「Zaif」が9月14日17時頃から19時頃までの間にハッキング被害を受け、約70億円相当の仮想通貨が不正に流出したと発表した。また同社は、流出した仮想通貨のうち、顧客からの預り資産に相当する約45億円相当の財源確保やセキュリティーの向上、経営基盤の強化を目的として、フィスコ、カイカの2社と基本契約を取り交わした。フィスコは50億円の金融支援、テックビューロの株式の過半数を取得する資本提携、過半数以上の取締役・監査役の派遣を検討し、カイカはセキュリティー向上のための技術提供を行う。

 今回の不正流出事件は、法人向けIT市場に影響が及ぶ可能性もある。テックビューロはB2B領域のブロックチェーン市場立ち上げをリードしてきたベンダーでもあり、朝山貴生CEOはブロックチェーンの業界団体であるブロックチェーン推進協会(BCCC)の副代表を務めていたが、今回の事件の責任を取るかたちで副代表の辞任をBCCCに申し入れ、承認されている。

 今年の7月にテックビューロは、プライベートブロックチェーン「mijin」やICO総合プラットフォーム「COMSA」などの事業を、同社と資本関係を持たない新会社のテックビューロホールディングスに移管している。テックビューロによれば、「現時点では別会社でありリソースも異なるので、(不正流出の)法人向けビジネスへの影響はなく、PoCなども問題なく実施できる。知る限り、既存顧客がサービスの利用をやめる動きもない」という。

 一方で、BCCCの代表理事であるインフォテリアの平野洋一郎社長は週刊BCNの取材に対して、「今回のような盗難事故はブロックチェーン技術そのものの欠陥ではなく、当該取引所固有の問題。しかし、ブロックチェーンの典型的な適用例である仮想通貨でこのような事故が起こると、技術自体に対するイメージもネガティブになり、社会の信頼構築に時間がかかってしまう恐れがあると危惧している」とコメント。その上で、「ブロックチェーンが価値移転のインフラとなる将来像を確信している」とも話し、テックビューロホールディングスとの連携も含め、ブロックチェーンへの注力は変わらない方針を示した。(本多和幸)