ヴイエムウェアは11月12日、AWSを基盤としたハイブリッドクラウドサービス「VMware Cloud on AWS」の提供を日本市場でも開始した。同社および同社製品を取り扱うパートナーを通じて販売する。

米VMwareのパット・ゲルシンガーCEO

 VMware Cloud on AWSは、サーバー仮想化技術「vSphere」、ソフトウェア定義型ストレージ「vSAN」、ネットワーク仮想化技術「NSX」などをベアメタルのAWS上で提供するサービス。オンプレミスでVMwareを利用している企業は、同じ基盤技術を利用してAWS上にITインフラを拡張し、同一の管理画面を通じて運用が行える。昨年北米からサービスを開始していたが、AWS東京リージョンでの提供準備が完了したため、国内の顧客に向けて正式に案内を開始した。来年上半期中にAWS大阪リージョンでも提供する予定。

 主な用途としては、ディザスタリカバリーや一時的な負荷増大への対応などが挙げられる。ユーザー企業の自社データセンターで障害が発生した際、AWSをインフラとして業務アプリケーションやサービスの運用継続が可能となるほか、オンプレミスでCPUやストレージのリソースが不足した場合、足りない分を自動的にAWS側でまかなうことができる。ヴイエムウェアによれば、海外ではオンプレミスからAWSへの数千台規模のサーバー移行でVMware Cloud on AWSが利用された例があるほか、日本市場ではVDI(仮想デスクトップ基盤)構築にもこのサービスが活用されると見込んでおり、同社のVDI管理ソリューション「Horizon」との連携もセールスポイントになるとしている。

 国内で提供を始める時点で、20社以上のVMwareパートナーがVMware Cloud on AWSを販売し、このうち伊藤忠テクノソリューションズとNECの2社は、マネージドサービスプロバイダーとして、運用も含めた形態でのサービス提供も行う。2社とも自社のIaaSを活用したマネージドサービスをすでに提供しているが、インフラとしてAWSを選択したいと希望する顧客の声に対応する。

 VMwareをベースとしたITインフラを拡張するのであれば、他のパブリッククラウドサービスも選択肢になり得るが、拡張先としてAWSが望まれる背景には、企業におけるデジタルトランスフォーメーションの機運の高まりがある。AWSには高度なIT活用のためのさまざまな機能が用意されているほか、国内外の先進的なサービス開発者の多くが、AWSを基盤としてサービスを提供している。企業がVMware Cloud on AWSを利用して、自社のデータセンターをAWS上に拡張しておけば、AWS上で提供される、それらの高度な機能やサービスと、既存の基幹業務システムとの連携がしやすくなる。

 米国本社から来日したパット・ゲルシンガーCEOは、「日本の顧客は保守的なところがあるが、クラウドの俊敏性をぜひ活用していただきたい。VMware Cloud on AWSは、高い品質とセキュリティーを提供し、かつ迅速に立ち上げることができる」と述べ、信頼性とクラウドのメリットを同時に享受できる、日本市場に適したサービスであることを強調した。(日高 彰)