働き方改革に取り組む企業は増えているが、実際に成果をあげている例となると、まだごく少数だ。とくに中小企業では、何から手をつければよいか分からないという企業が少なくない。こうした状況を変え、本当に浸透できる改革を実験するべく、Dell EMC、ヴイエムウェア、日本マイクロソフトの3社が協業し、各社の製品・サービスの組み合わせによる一体となったソリューションを提供している。

3社それぞれのノウハウをユーザーに展開

Dell EMC
田中里織
コンサルティング・
サービス本部
コンサルタント

 「働き方改革が浸透しているのは、まだ一握りの企業にすぎない。社内展開が決して容易ではないからだ。Dell EMC自身は2008年から働き方改革に取り組んできた。私自身も、二児の母で育児休暇を取得後、仕事に復帰した。柔軟な働き方ができたおかげで復帰後も、スムーズに仕事が始められた。働き方改革の浸透のおかげで、現在も仕事、育児を両立するだけでなくワークライフバランスを維持することができている。Dell EMCが働き方改革を推し進めてきたこの10年間で積み上がったノウハウを、お客様に展開することで役立ててもらいたいと考えた。マイクロソフトは長年のグローバルパートナーであり、ヴイエムウェアはグループ企業として改革に不可欠なEUCソリューションをもっており、Dell EMCはコンサルティングからソリューションの導入、運用・保守までを提供できる。3社の協業により、ベストな形でトータルにお客様の働き方改革のご支援ができる」と、Dell EMCの田中里織・コンサルティング・サービス本部コンサルタントは協業の背景を語る。

日本マイクロソフト
福原 毅
パートナー事業本部
プリンシパルパートナー
テクノロジーストラテジスト

 日本マイクロソフトの福原毅・パートナー事業本部プリンシパルパートナーテクノロジーストラテジストも、「Dell EMCはもちろん、ヴイエムウェアとも数年前からさまざまな協業をしてきたが、VDI機能を提供する『VMware Horizon』の『Microsoft Azure』対応により、協業の取り組みがさらに加速している」と説明する。

 VMware Horizonは、VDIの効率的な管理とエンドユーザーの柔軟な利用を可能にするデスクトップ仮想化ソリューション。今年2月に日本でそのDaaS版の「VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure」の提供が開始された。

 ヴイエムウェア社長室の服部寿明・Dell Synergy技術部長は、「VDIはさまざまなデバイスや場所から安全にデスクトップ環境へアクセスできることで、ワークスタイルの改善と生産性向上を図ることができる。日本は世界的にもVDIの導入が多く、Windows 10移行を検討する際には必ず候補に上がる」と話す。

AIがよりよい働き方をアドバイス

 VMware Horizon Cloud on Microsoft Azureは、大きく三つのメリットを備えている。

 一点目は、CCU(同時接続ユーザー数)単位および時間単位の課金を選べること。大学のように多くのユーザーがいても、同時利用のユーザーが限られるケースで、コストを最適化できる。
 

ヴイエムウェア
服部寿明
社長室
Dell Synergy技術部長

 二点目は、構築の自動化による負荷の軽減。「1000名規模のVDI構築なら半日で導入を完了できる。しかも大半が自動で構築されるのを待つ時間だ」と服部技術部長。さらに、特別な知識を必要とせず、運用後のバージョンアップも数クリックで済む。

 三点目は、VDIで「Office 365」を活用する場合もシームレスにアクセスできること。福原ストラテジストは、「Microsoft AzureとOffice 365は同じマイクロソフトのネットワーク内にあるため、自社PC(ユーザー側ネットワーク経由)でのOffice 365へのアクセスより、VDIへの画面転送のほうがレスポンスが早いという評価の声も耳にする」という。

 3社協業による働き方改革の提案で、日本マイクロソフトが前面に押し出すのが「Microsoft 365」だ。同製品はWindows 10、Office 365、「Enterprise Mobility + Security(EMS)」を含む統合スイートだ。

 働き方改革で場所にとらわれない働き方が増えると、PCを外部に持ち出す機会も増える。そうなると外部からの脅威にさらされる機会が増すが、Microsoft 365はさまざまな脅威を包括的にカバーすることができる。

 「セキュリティだけでなく、働き方の質を改善するのがAI機能だ。Office 365を利用している各ユーザーのワークスタイルデータをクラウドに蓄積。そのデータを分析して、AIがユーザー個人の働き方を可視化し、よりよい働き方をアドバイスしてくれる」と福原ストラテジストは強調する。
 
働き方改革を支援するソリューションの進化

ITは要素の一つ。企業の文化に合った改革でなければ浸透しない

 「働き方改革の推進は、ITの導入で終わりではない。テクノロジーは要素の一つにすぎず、企業文化、人事制度、ITの3本柱に対してアプローチできないと、本当に浸透する改革にはならない」と田中コンサルタント。とくに中小企業は、何から手をつければよいかわからないところが多いという。

 そこでDell EMCは、個々の企業文化に合った改革を進めていくため「ワークスタイル変革アセスメントサービス」を提供。自ら実践してきた経験やノウハウを含めたアドバイスを行っている。その後に、ITアセスメントを実施して現状を把握してもらった上で、働き方改革のグランドデザインを作成している。

 さらに「デザインを実現するためのソリューション選定から導入、運用管理、導入後の改革浸透までをしっかりサポートしている」と田中コンサルタントはアピールする。

 しかも、以前ならユーザーはハード、ソフト、クラウドと個別にベンダーと交渉しなければならなかったが、今はDell EMCから横串で一括した提案が受けられるようになった。

 「今、働き方改革の案件が目立つのは建築系。ITリテラシーの差が大きく、多くの現場を抱えていることから業務の効率化が課題になっているためだ。今後は、紙文化が根強く残る文教分野にも注力したい。また、大手企業でも働き方改革の浸透はこれから。本当に効果が認められるようになるまで、しっかりとサポートしていきたい」と田中コンサルタントは力を込める。