VAIO(吉田秀俊代表取締役)は11月13日、都内で経営方針説明会を開催した。登壇した吉田代表取締役は「ソニー独立後の復活シナリオのフェーズ1は完遂した。短期決戦は無事に乗り越えることができた」とビジネスの成果に手応えをみせた。

吉田秀俊
代表取締役

 同社はPC、EMS(受託製造サービス)、ソリューションの三つの事業を展開している。2017年度売上高は前年度比10.8%増の214億8800万円、営業利益は13.9%増の6億4800万円、経常利益は13.4%増の6億5000万円、当期利益は160.5%増の4億8200万円と2桁の増収増益となり、過去最高益を達成した。

 その要因として、PC事業では法人向けモバイルPCの販売が前年度比30%増と好調であったこと、キッティングなどの導入支援サービス、海外展開での対象国拡大などを挙げた。EMS事業では取引先企業が増え、出荷台数は前年度比で2.5倍に増加した。一方、ソリューション事業はVR事業が始動したばかりで、まだ成長を模索している段階だという。

 吉田代表取締役は「今後は強い事業構造と成長戦略に向け、フェーズ2の仕込みに入る」とし、次の戦略として「PCブランドから次世代ITブランドへの移行」を打ち出した。

 PC事業では、PC本体だけでなく周辺機器、セキュリティーまで拡大する。それに向けては、自社だけでは全てを提供できないため、パートナーと協業していくという。

 その第一弾としてベンキューと提携。ベンキュー製の電子黒板「大型インタラクティブ・フラットパネル」をVAIOブランドで販売する。セキュリティー面では指静脈認証技術を持つモフィリアと協業し、セキュリティーソリューションの一つとしてモバイルPCに指静脈認証技術を搭載する。今後はIoTデバイスにも内蔵していく計画だ。

 EMS事業ではロボティクスに注力し、アグリテック(農業×テクノロジー)の領域に参入する方針だ。自動飛行型農薬散布マルチコプターの量産製造を計画中で、長野県安曇野市で実証実験を開始する。ソリューション事業では新規事業としてIoT事業を立ち上げる。IoTとブロックチェーン技術を使った新たな商品群やサービス、アプリケーションの開発に向けて、IoTのプラットフォームを開発・提供するジャスミーと協業の検討を開始した。

 吉田社長は「今、VAIOはPCの会社だが、数年後には会社の姿が大きく変わっているかもしれない」と展望を語った。(山下彰子)