日本オラクル(フランク・オーバーマイヤー社長)はSaaSビジネス拡大の切り札として、サブスクリプションビジネスのためのクラウド業務アプリケーション「Oracle Subscription Management」の販売に注力し始めている。所有から利用への大きなトレンドがB2C、B2Bを問わず多くの産業で勃興する中で、モノ売りのビジネスモデルから、利用のためのサービスを提供しユーザーとの契約に基づき継続的に課金するサブスクリプションビジネスへのシフトが拡大しつつある(週刊BCN1762号で特集)。これを商機として、米ズオラなど、サブスクリプション管理ソリューションの専業ベンダーが大きな成長を遂げている。オラクルは、ERPやCRMなど伝統的なビジネスアプリケーションの大手ベンダーであることを生かして、この新しい市場のイニシアチブを握りたい考えだ。

 ズオラのティエン・ツォCEOは自社のサブスクリプション管理ソリューションについて「CRMやERPはモノ売りにしか対応しておらず、それに代わる新時代の基幹システムだ」とする。しかし実際は、CRMやERPと連携させ、「従来システムをサブスクリプション対応にシフトできる」(ズオラ・ジャパンの桑野順一郎社長)ソリューションとして市場に訴求している。日本オラクルの東裕紀央・クラウドアプリケーション事業統括事業開発本部ビジネス企画・推進部CXチームリーダー・ディレクターも、「ERPと(CRMや販売管理、デジタルマーケティング、コマース、見積システムなどを含む)『Oracle CX Cloud』のちょうど間くらいの位置付けの製品」と、Oracle Subscription Managementのポジショニングを説明する。そのため、現状はCXチームとERPチームが両面からこの製品の販売推進を行っているという。

 サブスクリプション管理製品については、ズオラのような専業ベンダーが先行して市場開拓しているが、いずれにしてもCRMやERPと連携させる必要があるならば、全てを自社でそろえて同一プラットフォーム上でシームレスに連携できるオラクルには大きな強みがあると同社はみている。サブスクリプションモデルの新しいサービスの顧客が、物理的製品の販売という従来ビジネスの顧客でもあり続けるというケースは当然想定し得るわけだが、こうしたサービスとモノ売りが混在したオーダーにも対応し、「一元的な顧客リレーションシップを実現できるのがオラクルのアドバンテージ」(東ディレクター)だという。

 中島透・クラウド・アプリケーション事業統括ビジネス開発本部ERP/SCM戦略・企画担当ディレクターも、「サブスクリプション管理の機能だけを取り出せばベンダー間で大差はない。しかし、サブスクリプションビジネスでは、例えば契約に基づいて何か物理的なモノを送るビジネスなら、契約履行の段階でSCMとの連動は不可欠。また、2021年に変更される新しい収益認識基準に基づいた計上タイミングの制御なども、会計システムと連動してしっかりカバーできる」と同社製品のメリットを強調する。

 Oracle Subscription Managementは昨年10月に開かれた米オラクルのグローバルイベントで発表されたばかりで、まだモジュール単体で売り上げ目標などを設定する段階ではないというが、「他のERP製品との差別化要素にもなる」(中島ディレクター)とキラーコンテンツとして拡販を進めていく。(本多和幸)