日本オラクルの川島隆人・アライアンス統括Innovation Alliance推進本部本部長は、「『クラウド第二世代』で進化するビジネス-2019年 東京/大阪に待望のOracle Cloud最新データセンターを開設」と題して特別講演を行った。AIで自律的に運用管理する「Autonomous Database」や「Oracle Cloud Infrastructure」などの最新情報を交え、パートナーとの協業をベースに新規顧客開拓に取り組む同社のクラウドビジネス戦略を解説した。

Oracle Cloudに巨額の投資 東京、大阪にもDC開設

 オラクルは今年、Oracle Cloudの最新データセンター(DC)を東京、大阪に開設する計画だ。川島氏はこれに言及した上で、オラクルのクラウド戦略は「SaaS、PaaS、IaaSの全てを包含したポートフォリオを持ち、互いに連携し統合されたプラットフォームを提供することができる。エンタープライズのお客様のニーズに確実にお応えできることが大きな違い」であると強調した。

 オラクルでは「Oracle Gen 2 Cloud」と呼ぶ次世代型クラウドデータセンターの構築を開始している。4年前にシアトルの開発拠点でOracle Cloudの開発がスタートしたとき、携わる人員はわずか数十人だったが、現在は数千人規模まで大きく拡大。それだけ「巨額の投資をしている」と川島氏は力を込めた。

 従来のクラウドには、「ノイジーネイバー(他の利用者の影響を受けた突発的な性能低下)」「ハイパーバイザーに起因するリスク(脆弱性によるホストOSや他のテナントからの攻撃の可能性)」「本番環境でさまざまな追加課金が発生する」などの課題があったという。それに対して、「Oracle Gen 2 Cloud仕様のOracle Cloud Infrastructureは、オンプレミスとパブリッククラウド、それぞれの長所を兼ね備えた次世代型占有クラウド基盤。セキュアで安定・高速、高コストパフォーマンスを可能にする」と川島氏はアピール。具体的な特長として、「ベアメタルによる安定したパフォーマンスの発揮」「パフォーマンスの最適化機能」「拡張時にボトルネックが発生しないアーキテクチャー」「強固なセキュリティー」を挙げた。

 特にクラウド移行における大きな課題の一つであるセキュリティーについては、「Oracle Gen 2 Cloudのセキュリティー面での特長はEdgeとCoreのデータセンターのサービスを完全分離した2層構造。それぞれに必要なセキュリティーを提供して多層防御を実現、各テナントは完全分離しているので、サービス内部からの侵入も防御できる」と強調した。
 

IaaS、Autonomous DBを前面にパートナーエコシステムを活性化

 Oracle Cloudは、オラクル製品全般はもちろん、他社製を含む基幹系システムからビッグデータ系アプリケーション、ISVパッケージ、クラウドネイティブアプリまで、非常に幅広いワークロードに適応できる。さまざまなパートナーにクラウドビジネスへのシフトを促すポテンシャルを持っているという。「パートナーの方々に大きなメリットとなるのがOracle Cloudの卓越したコストメリット。この1年で競合サービスとの比較で勝ち取ったケースが相当数出ている。見積もってみてもらえば、びっくりするはずだ」と川島氏。
 
川島隆人
アライアンス統括
Innovation Alliance推進本部
本部長

 例えばストレージでは、他の大手クラウドベンダー比で9割以上のコスト削減を実現したという。ネットワークに関する課金でもコストメリットは大きい。多くのクラウドサービスはデータのアップこそ無料だが、手元に戻す際には多額のコストがかかる。これに対してOracle Cloudは、アップしたデータを手元に戻す場合も月間10テラバイトまでは無償だという。川島氏は「不要なロックインによりデータの活用価値が損なわれないように配慮している」と説明した。

 コスト面だけでなく、エンタープライズITのニーズに応える水準の、他社とは一線を画したSLAを提供している点もセールスポイントだという。「止めない(可用性)だけではなく、性能を満たしているか、管理操作ができるかという点も含めて保証し、世界最高水準の包括的なSLAを提供している」(川島氏)。

 また、TCO削減に寄与するのが、「Oracle Autonomous Database Cloud」だ。Self-Driving(自己稼働)によるコスト削減と生産性の向上、Self-Securing(自己保護)によるリスク低減、Self-Repairing(自己修復)によるビジネス/サービスの継続性を実現できる。管理コストを最大80%、TCOを3年間で最大50%削減できるという。目下、Oracle Cloudの最大の売りと言えるサービスだ。

 川島氏は、「日本市場は企業規模に関係なくデータベースが必要なシステムが多く、既存顧客はOracle Databaseのユーザーが圧倒的に多いという点、さらにはSIerが中心にインプリするという点が、グローバル市場と大きく異なる」と指摘する。クラウドビジネスでは、これを前提に日本市場に合わせたパートナー戦略を展開していく。「インストールベースの製品は既存のパートナーの方々を中心にクラウド化を進め、新規クラウドの販売はコストメリットを訴求し、クラウドネイティブな新しいパートナーの方々と推進する。18年6月には、クラウド特化型のパートナーの方々との協業に注力する新しい部隊も立ち上げた。また、技術者コミュニティーを中心にOracle Cloudの認定資格者も大幅に増やす」(川島氏)。新データセンターとOracle Cloud Infrastructure、Autonomous Databaseを前面に押し出し、日本のエンタープライズIT市場にクラウドの新たな選択肢をパートナーとともに提示していく。