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日本市場のみ“特例”で間接販売に着手 20年には中堅企業向け製品や財務会計も国内投入――ワークデイ

2019/03/04 07:00

週刊BCN 2019年02月25日vol.1765掲載

 ワークデイ(鍛治屋清二社長)がパートナーエコシステムの強化に乗り出す。HCMに強みを持つクラウドERPベンダーである米ワークデイの日本法人である同社は、2015年の本格的な営業を開始以降、インプリはパートナーが行うケースが多数派だったものの、販売については基本的に直販で行ってきた。これはグローバルでも共通の戦略で、グローバルにビジネスを展開する超大企業をメインターゲットに、ワークデイ製品の価値を丁寧に市場に訴求しながら大型案件を獲得してきた。しかし、鍛治屋社長は、「日本市場における業務アプリケーションのビジネスでは(特例的に)間接販売が必要だという結論に至った。サービスパートナー・エコシステムの強化と販売チャネルの拡充が今期(20年1月期)の重点施策」として、間接販売体制の整備・強化により、同社の日本市場における成長はもちろんのこと、日本のクラウドHCM市場そのものの拡大を加速させたい考えだ。

ワークデイの鍛治屋社長(中央)を囲むパートナー企業の担当者

 ただし、現時点ではパートナー戦略の詳細まで詰めているわけではないという。まずは日本市場でワークデイの導入支援を手掛ける5社のサービスパートナーとの連携を本格化させる。サービスパートナーには、アクセンチュア、アビームコンサルティング、デロイト トーマツ コンサルティング、日本IBM、PwCコンサルティングが名を連ねる。各社ともワークデイの認定資格を持つ導入コンサルタントを増強し、上流での提案力を強化していく方針だ。

 鍛治屋社長は、「ワークデイの本質を深く理解していただいているパートナーとともにビジネスや市場の拡大に取り組んでいくことが大事で、とにかくパートナーの数を増やすという形でチャネルを拡充しようとは思っていない」と話す。ただ、20年中には財務会計モジュールや中堅市場向け製品も日本市場に投入する予定で、その拡販のためには、パートナー数もある程度は増やさなければならなくなる可能性も否定できない。

 ワークデイがパートナーエコシステムの強化に踏み出すにあたっては、パートナービジネスに精通した人材の確保にも取り組んできた。昨年10月に就任した鍛治屋社長に先駆けて、9月にはアマゾン ウェブ サービス ジャパンで長年パートナーアライアンス事業の責任者を務め、AWSの国内のパートナーエコシステムを確立した立役者ともいえる今野芳弘氏がワークデイに入社。サービスアライアンス担当の執行役員に就任している。鍛治屋社長は「彼が入社するまではパートナーとの協業の進め方を理解している人材もワークデイにはほとんどおらず、5社のサービスパートナーとの協業体制を整備できたのも彼の功績が大きい」と評価する。パートナービジネスで成功したベンダーのノウハウも注入しながら、ワークデイが向こう2年ほどで予定しているポートフォリオの拡充とともにパートナーエコシステムをどう進化させるのかも注目すべきポイントだ。(本多和幸)
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外部リンク

ワークデイ=https://www.workday.com/ja-jp/homepage.html