深刻な人手不足が課題となっている建設業界。ICTを活用して生産性を高めようと、国土交通省が「i-Construction」を推進する中、愛知県岡崎市の建設事業者である山口土木は、建設現場でICTを積極的に活用して業務の効率化を実践し、注目を集めている。その取り組みとはどのようなものなのか。(取材・文/前田幸慧)

現場でのICT活用の先駆け

 名古屋市から車で約1時間、愛知県の中央部に位置する岡崎市に本社を置く山口土木。1990年の設立で、従業員は40人弱。岡崎市内を中心とした公共工事を手掛ける“小さな地元の工事店”だが、特色のある会社として業界内で注目を集めている。

 その理由は、ICT活用が遅れがちだった建設現場においてICTを積極的に活用し、業務の効率化を図っていることにある。特に、測量業務おけるドローンや3次元データの活用は、国交省が掲げるi-Constructionの先進事例として注目されている。

 今回、宅地造成現場でその活用風景をデモで見せてもらった。まず、測量した点を杭打ちし、GNSS測量機と3次元レーザースキャナーを使ってスキャンして、点群データを作成する。さらに、ドローンを使って上空から現場を空撮。二つのデータを組み合わせて、3次元の図面データを作成する形だ。作成したデータはVRデバイスを使い、仮想空間上でよりリアルな完成イメージを体感し、細部を確認することもできる。

 ここで活用しているのが、デルの堅牢デバイス「Latitude Rugged」だ。Ruggedは、現場用途向けに頑丈につくられたPCやタブレットのシリーズ製品で、米軍の資材調達基準「MIL-STD-810G」に準拠した高い耐久性能を備えている。
 
現場で使うと土やほこりで汚れやすいが、Ruggedは水で洗い流せる

 同社では以前、別の端末を利用していたが、スペックの限界を課題に感じていた。そうした中、ある展示会で現場端末管理システムを提供している福井コンピュータからの紹介でデルのRuggedを知り、そのスペックの高さや現場での利用に耐え得る堅牢性を評価して、Ruggedタブレットを採用。現在、これに現場で必要となるさまざまシステムやデータを入れて活用している。なお、測量業務においては、従来2人で行っていた作業を、これらの機器やシステムを使うことで、1人で完結できるようになったという。
 
Ruggedを使った測量業務。外でも画面がはっきり見える


原点は「キーマンの効率化」

 山口土木の松尾泰晴・取締役統括技術部長兼総務部長は、ICTを積極的に活用し始めた背景は、「キーマンの効率化」にあると説明する。
 
山口土木
松尾泰晴
取締役

 「キーマンとは、工事部長と専務、総務部長にあたるが、そうした時間単価(稼ぐ能力)の高い人の1分1秒を、最新機器を使ってどれだけ切り詰めるかを常に考えてきた」

 そこで最初に行ったのが、iPhoneの導入。7台導入し、社員間でクラウド上で図面を共有したり、コミュニケーションツールで連絡を取り合ったりすることに活用した。これにより、「それだけロスがあったともいえるが、売り上げが大きく伸びた」(松尾取締役)という。そして、その次に行ったのがドローンや3次元データの活用である。

 こうしたICT活用の効果として、工期が3分の2程度に短くなったり、同社の元請け比率が高まったりなどの効果を得たという。「現在やっていることは、15年前から頭にあったが、そんな時代は来ないとずっと言われてきた。今やっと時代がマッチしてきたのかなと思う。ただ、逆に時代に追い付かれたともいえる。追い抜かれないよう、自分が前に行くことを考えている」と松尾取締役。今後も新しいテクノロジーの活用に意欲をみせている。
 

堅牢デバイスの販売好調 シェア追い上げに弾み

 デルのLatitude Ruggedシリーズは現在、ノートPCタイプ3種類、コンバーチブルタイプ1種類、タブレットタイプ1種類の5モデルを展開。昨年11月に発売したノートPCタイプの3機種は、第8世代のインテルプロセッサーを採用。屋外で直射日光が当たっても見やすいディスプレーや、ホットスワップの可能なデュアルバッテリーの搭載を特徴としている。
 
デル
佐々木 彩
シニアアナリスト


 デルの佐々木彩・クライアント・ソリューションズ統括本部クライアント製品本部フィールドマーケティングシニアアナリストによると、Ruggedは軍事用途のニーズが強いほか、「鉄道線路の点検や学校のフィールド調査、(山口土木の事例をはじめとした)土木現場での活用も増えてきている」という。「現場での利用を想定し、自社で耐久性のテストを繰り返し行っていることが評価されている」と佐々木氏は強調する。
 
デル
竹内裕治
コンサルタント

 また、同部コンサルタントの竹内裕治氏は、デルのクライアント製品ビジネスについて、「デスク、在宅、クリエイティブ、エンジニア、現場など、働き方のシーンに合った最適なデバイスを選択していただける。自宅、出張先、移動も含めて同じ仕事環境を実現できるソリューションを提供している」と説明する。法人向けのデバイス、周辺機器を含めてビジネスは「全般的に好調」で、中でも現場利用に特化したデバイスであるRuggedは「グローバルの市場シェアが現在27%。じわじわと数字を上げている」とアピール。「トップとの差を縮めていきたい」と意気込んだ。
 
デル「Latitude Ruggedシリーズ」はノートPC、コンバーチブル、タブレットタイプの計5モデルを展開