ヴイエムウェア(ジョン・ロバートソン社長)は6月11日、マルチクラウドの推進に関する記者会見を開き、米国本社から来日したグローバルフィールド&インダストリ担当副社長兼CTOのクリス・ウォルフ氏が、企業システムのクラウド化や、クラウドネイティブなアプリケーションの開発・実行にあたって、同社の技術がどのような優位性を発揮するかを説明した。

 同社は主要なパブリッククラウド事業者と組み、オンプレミスのVMware上で運用されていた業務アプリケーションを、クラウド上にそのまま移行できる環境の整備に注力している。単に既存のVMware環境を“リフト&シフト”で移行するだけでなく、複数のITインフラを統合するための「VMware Cloud Foundation」を基盤技術として提供しており、企業は自社のデータセンターと複数のクラウドをシームレスに運用・管理できるようになる。最近では今年5月、新たにAzureがCloud Foundationをサポートするクラウドに加わった。

 既存システムのクラウド化という流れがある一方で、AIやIoTソリューションの導入が拡大しつつあることで、分析や機械学習といったクラウド上で提供されている機能を、自社のプライベート環境でも使いたいというニーズの高まりがある。ウォルフ氏は「Amazon Echoに天気予報をたずねるとき、(クラウドからの)反応には2秒くらいかかる。しかし、自動運転車は停止するかどうかの判断に2秒も待つことはできない。クラウドサービスを、データが生成されている場所に持ってこなければいけない」と指摘し、反応速度やプライバシーなどの要件上、パブリッククラウドには展開できないアプリケーションが今後増えるとの見通しを示した。
 
米ヴイエムウェア
グローバルフィールド&インダストリ担当
クリス・ウォルフ副社長兼CTO

 そこで同社では、大手クラウドとのパートナーシップの下、クラウドサービスの一部をVMware環境の上で提供する取り組みを開始しているという。具体的には、「Azure IoT Edge on VMware vSphere」として、同社のvSphereが動作するハードウェア上でAzureのエッジデバイス向けサービスが利用可能となっているほか、今後AWSのデータベース(RDS)や、グーグル・クラウドのコンテナ環境「Anthos」、機械学習ライブラリー「Tensorflow」などもサポートする予定。

 また、クラウドネイティブなアプリケーション開発では、コンテナ型の仮想化技術が有望視されており、コンテナの管理ツールとしてはオープンソース技術のKubernetesが業界標準になりつつある。ヴイエムウェアでは、同じデルテクノロジーズ傘下のPivotalとの協業で、Kubernetesベースの商用製品「PKS」を提供していたが、ここに昨年買収したHeptioの技術を統合し、PKSのラインアップを強化した。ウォルフ氏は、同社にとって今やハイパーバイザーのみならずコンテナも重要で戦略的な技術になっていると強調。「Kubernetesの最初の開発者であるジョー・ベーダとクレイグ・マクラッキーが、(Heptio買収で)今はVMwareの社員として製品を開発している」と話し、他社よりも高度で一貫性のあるKubernetes製品を提供できると主張した。(日高彰)