サイボウズは2019年12月期の通期決算を発表した。売上高は前期比18.7%増の134億1700万円、営業利益は前期比57%増の17億3200万円で、いずれも過去最高を更新した。パッケージ製品の売上高が横ばいの中で、クラウド関連の売り上げは順調に増えており、これが同社の近年の安定した成長につながっている。

青野慶久 社長

 主要製品別では、業務アプリ開発プラットフォームの「kintone」のユーザー数が19年12月時点で1万4000に達した。18年12月時点では1万1000社だったため、30%に迫る増加率だが、売上高はそれを上回る前期比約40%増の水準で、顧客単価も上昇していることがうかがえる。ユーザー企業におけるkintone導入担当者は82%が非IT部門所属で、この割合は前期決算時よりも上がったが、青野社長は今後の方針として、ユーザーのIT部門との接点も拡大し、より全社的なコラボレーションプラットフォームとして活用されるための施策を打ち出していくことを示唆した。

 中小企業向けグループウェアの「サイボウズOffice」は導入企業数が前期比10%増の6万6000社で、4年連続で売上高は過去最高を更新し、好調を維持した。パッケージ版の売り上げは漸減傾向であるものの、クラウド版の売り上げとユーザー数が例年コンスタントに積み上がり、クラウドへの注力によるストックビジネスへのシフトが安定した成長を支えているというのは全社業績と同様の状況だ。

 大規模・中堅企業向けグループウェアの「Garoon」もクラウド版の売り上げ増は顕著だった。ただし、「19年12月期にクラウド版の売上比率が5割を超える見込みだったが、残念ながら実現できなかったのが反省点だ」(青野社長)という。それでも、20年2月には茨城県がクラウド版を1万ユーザー規模で導入することが決まったと発表。青野社長は、「自治体がクラウドで大規模導入してくれるという事例が出てきたのは重要なことだと捉えている」として、ユーザー側のニーズも大きくクラウドに傾いていることを強調した。

 20年12月期の事業方針としては、より統合的・網羅的な情報共有プラットフォームとなり得るサービスの開発・運用とエコシステムづくりに注力する。

 また、中華圏、アジア太平洋地域、米国を中心に展開してきた海外ビジネスについては、「改めてグローバルビジネスのアクセルを踏む」(青野社長)という。これまで得られたビジネスのノウハウを一旦集約し、さらに広い地域で横展開できる勝ちパターンのモデルづくりを進め、パートナー開拓や拠点開設を進める。(本多和幸)