セキュリティベンダーのネットスコープジャパンは3月3日、企業の拠点からクラウドやデータセンターへの安全な接続を提供するサービス「Netskope Private Access」の販売を開始した。ネットワークとセキュリティを統合した「SASE」(Secure Access Service Edge、サシー)と呼ばれるサービスの一種で、ネットワーク性能の最適化と、セキュリティポリシーの徹底を同時に実現することができる。
大黒甚一郎 ジャパン・カントリーマネージャー
現代の企業の情報システムは、自社のデータセンターに加えて、IaaS上の仮想化基盤や、SaaSアプリケーションなどに分散している。多くの企業では、それぞれのシステムにアクセスするにあたって複数のネットワークサービスやセキュリティ製品を導入しているが、セキュリティ要件や保護対象が複雑化したことで、それらを運用・管理するコストや手間が増大している。また、従業員は働く場所やアクセス先のシステムの違いに応じて異なるVPNクライアントやアカウントを使い分ける必要があるほか、最近ではOffice 365などのトラフィックが増えたため、拠点間を結ぶWANがボトルネックとなってSaaSの性能が低下するといった問題も発生している。
新たに提供を開始するPrivate Accessは、企業が保有する物理/仮想サーバーやPCにクライアントソフトを入れるだけで、それらすべてをセキュアに接続できるサービス。ネットスコープは、主要なクラウド事業者に高速な接続が可能な独自のネットワークインフラを保有しており、世界の主要国に接続点となるDC(データセンター)を開設している。クライアントソフトを導入したサーバーやPCは、グローバルで最も近いDCに自動的にアクセスし、ネットスコープのプライベート網を通じて相互に接続されるので、企業はネットワーク機器を保有・運用しなくても複数の拠点とクラウドを結ぶことが可能で、単一のセキュリティポリシーを全社で確実に適用できる。
同社は元々、複数のクラウドサービスに対するアクセス制御を統合し、SaaS利用の可視化やシャドーITの抑制を図る「CASB」(Cloud Access Security Broker、キャスビー)製品を主力としており、その後、データ漏えい防止などのセキュリティ機能を強化してきた。今回のPrivate Accessは、これらのセキュリティ機能と、グローバルを結ぶWANを統合したサービスとして提供する格好となる。
日本法人代表を務める大黒甚一郎 ジャパン・カントリーマネージャーによると、この1年で国内の顧客社数は倍増し、現在は114社・約30万ユーザーが同社製品を導入しているという。また、今年2月に国内2カ所目となる大阪のDCがオープンし、「西日本のお客様のパフォーマンスが向上するとともに、国内での冗長化が図れた」(大黒カントリーマネージャー)。今年は導入社数で前年比2.5倍を目標に掲げている。(日高 彰)