NTTドコモ(吉澤和弘社長)、KDDI(髙橋誠社長)、ソフトバンク(宮内謙社長)の主要通信キャリア3社が2019年度(20年3月期)の決算と20年度の事業戦略を発表した。3社とも3月後半に第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスを開始し、今年度はエリア拡大・ユーザー獲得に本格的に注力する方針だが、新型コロナウイルスの感染拡大により市場の見通しは一気に不透明になった。事業環境の変化を慎重に見極める姿勢を見せつつも、新たに生まれる需要に期待感をにじませる。

 KDDIの19年度通期売上高は5兆2372億円で前年度比3.1%増、営業利益は1兆252億円で1.1%増だった。ソフトバンクは売上高が4兆8612億円で4.4%増、営業利益は9117億円で11.4%増。両社とも増収増益を達成した。一方で、NTTドコモの19年度通期の売上高は3.9%減の4兆6513億円、営業利益は15.7%減の8547億円で、計画どおりではあるものの、大手キャリアの中では唯一減収減益となった。電気通信事業法改正による通信サービスと携帯端末販売の分離への対応が遅れたことで、19年度の業績にその影響が色濃く反映される結果になった。

 20年度の見通しについては、現在も世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症による不透明感を大きなリスクとして捉えつつ、各社とも成長への意欲を示しているのは共通だ。NTTドコモは合理的な算定が困難であることを理由に20年度業績予想を開示しなかった。吉澤社長は「渡航者や店舗への来店者の減少で新規ユーザー数・国際ローミングの減少が考えられるが、基本的には増益を考えていきたい」とコメントしている。

 KDDIは売上高5兆2500億円・営業利益1兆300億円の20年度連結業績予想を発表。髙橋社長は「先行きはなかなか見通せず、情勢を慎重に見極めていきたい」と警戒感を示したが、プラスの要素として、巣ごもり需要やコンテンツ市場の拡大、法人市場ではニューノーマルへ向けたリモートアクセスが増加していることを挙げた。

 ソフトバンクの宮内社長は新型コロナの影響下でも増益・増配を目指すことを強調。ショップの来店者減のマイナス効果はあるものの、データ量の増加や法人・文教でのオンライン需要拡大が見込まれ、事業への影響は軽微だと判断した。20年度の連結業績予想では売上高4兆9000億円・営業利益9200億円という数値を示した。

 また5Gのサービス展開についても、3社共通で新型コロナウイルスによる影響は少ないとの考えを示した。NTTドコモの吉澤社長は「ネットワーク関連機器の納入の遅れや設備投資の遅延が発生する可能性はあるが、22年3月までに基地局2万局、23年度中に約2000万契約を目指す」と意気込む。また、ソフトバンクは当初の基地建設のロードマップから50%前倒しで進捗していることを説明。機材も予定通り納入されていることを強調した。(銭 君毅)