インターネットイニシアティブ(IIJ、勝栄二郎社長)は、愛知県の46自治体の医療・介護の情報連携プラットフォームを今年10月をめどに提供する。すでに愛知県の35自治体が情報連携の広域連携協定を4月1日付で結んでいるほか、新たに11の自治体が加わる見込み。愛知県の全54市町村のうち9割近い自治体がIIJのプラットフォーム上で情報連携を行うことになる。IIJではこの実績をテコに、他の都道府県でも医療・介護の情報連携プラットフォームを拡販していく考えだ。

愛知県医師会 野田正治 理事

 IIJの医療・介護の情報連携プラットフォーム「IIJ電子@連絡帳サービス」は、名古屋大学医学部附属病院(名大病院)先端医療・臨床研究支援センターが開発した情報共有ツール「電子@連絡帳」を、クラウド型サービスとして商用化したもの。2017年4月から医師や看護師、薬剤師、介護職員といった医療・介護に携わる専門職の情報連携プラットフォームとして実用化。地元愛知県を中心にユーザー数を伸ばしてきた。

 同サービスは、自治体が費用を負担し、地域の医療・介護の情報連携が安定的、継続的に行えるようにするもの。しかし従来は、市町村ごとに運用方針や利用規約が異なり、自治体間のスムーズな情報共有の妨げになるケースもあった。今回、自治体同士が行政区画を越えて情報を連携する協定を結んだことで、広域での情報共有が行いやすくなる。「これだけの規模で相互連携するのは全国でも初めての取り組み」と、広域連携の推進を担ってきた愛知県医師会の野田正治理事は胸を張る。
 
IIJ 北村公一 専務

 これまでも、地域の病院や診療所が電子カルテなどの情報を共有する「地域医療連携」や、主に介護施設や自治体が情報を共有する「地域包括ケア」の仕組みはあった。しかし、専門分野が異なる者同士や、患者の生活圏や通院先が複数の行政区画にまたがっているケースでは、思うように情報共有が進んでいなかった。IIJ電子@連絡帳サービスは、特に在宅医療・介護において伝言や申し送りをオンラインで共有する“連絡帳”の機能に焦点を当て、かつ行政区画をまたいだ広域連携を実現することで、「多職種や生活圏をカバーした情報共有の促進を担うプラットフォーム」(IIJの北村公一・専務執行役員)としての機能を担っていく。
 
IIJ 小椋大嗣 シニアコンサルタント

 また、新型コロナ禍で対面での打ち合わせが難しくなったことから、IIJ電子@連絡帳サービスの書き込みが急増。愛知県内の書き込み数は「今年2月までの平均に比べて4月は1.4倍に増えた」(野田理事)という。今後は「地震をはじめとする災害対応や、救急隊員との情報共有の機能も追加していく」(IIJの小椋大嗣・ヘルスケア事業推進部シニアコンサルタント)など、災害・救急への対応力を強化する方針だ。来年度には累計300自治体への販売を目指す。(安藤章司)