セールスフォース・ドットコム(SFDC)は7月15日、新しい社会環境下での組織の再始動を後押しするソリューション「Work.com」の提供を開始した。今後継続的に販売する新しいレギュラー商材としてラインアップする。新型コロナウイルスで激変した事業環境に対応する企業に提案するのはもちろんのこと、自然災害などを想定したBCP(事業継続計画)対策用としても活用を広げたい考えだ。(齋藤秀平)
まずは4製品を提供
国内で提供するWork.com製品は、オフィスの再開に向けて社内外の情報を集約できる「Workplace Command Center」、従業員の健康と安全を把握できる「従業員健康チェック(Employee Wellness Check)」、従業員の出社ローテーションなどが管理できる「シフト管理」、従業員向けに学習や健康に関するコンテンツを提供する「従業員向け学習ツール myTrailhead(myTrailhead for Employees)」の4種類。
従業員向け学習ツール myTrailheadは近日中の提供を予定しており、他の製品は7月15日から提供を始めた。利用する場合、月額9000円の管理者ライセンスが必要で、それに加えて製品ごとの月額料金が課金される。
また、クラウドアプリケーションのマーケットプレイス「AppExchange」には、SFDCのパートナーがWork.comの機能を拡張するソリューションをラインアップする。国内では同日現在、UPWARDとチームスピリット、Phone Appliの3社がSFDCの取り組みに賛同。UPWARDは位置情報を活用した従業員の訪問管理ソリューション、チームスピリットは従業員の稼働状況のモニタリングソリューション、Phone Appliは拠点出勤者・来訪者の履歴管理ソリューションの提供を予定している。
SFDCの伊藤孝・専務執行役員ビジネスオペレーション担当は、コロナ危機からビジネスを回復させるためには、会社の安定化、事業の再始動、ビジネスの成長の三つのステージを想定すべきとし、「緊急事態宣言解除の解除以降、企業活動は再開しているが、オフィスのレイアウトや出社時間など、慎重に検討すべきことは山積みだ」と指摘。さまざまな課題を効率的に、かつデータに基づいて一元的に管理することを可能にし、再始動への道しるべになるのがWork.comだとアピールした。
伊藤 孝 専務執行役員
“レギュラー製品”として育てる
米国では、5月にWork.comの提供が発表された。日本では緊急事態宣言が解除されて1カ月半が経過してから発表されたことになる。これについて、SFDCの岩永宙・マーケティング本部プロダクトマーケティングマネージャーは「日本独自の法律への対応やユーザーインターフェースのローカライズに時間がかかった」と説明した。
一方で、伊藤専務執行役員は「コロナの感染はまだ収束する気配がなく、ウィズコロナの状況は続くことが予想される。企業はコロナ以外のアクシデントも視野に入れながらいろいろな手を打たないといけないので、この時期のリリースは決して遅くない」と強調した。その言葉通り、SFDCとしては、台風や地震、洪水といった自然災害時などでの利用も想定しており、岩永マネージャーは「Work.comは緊急事態時の対応管理ソリューションとしてレギュラーの製品ラインアップに加え、今後、しっかりと育てていく」とした。
米国でのWork.com発表時には、今回の発表内容に含まれていない製品も紹介された。そうした製品の国内での追加提供について、岩永マネージャーは「二次感染を防ぐような機能を備えた製品があり、日本版の提供に向けて動いているところだが、まだ提供時期は未定」と述べるにとどめた。
岩永 宙 マネージャー
当面は「いち早くユーザーに提供することを優先し、直接販売を先行するが、パートナーのトレーニングや契約などの販売体制が整い次第、パートナー経由での間接販売も開始する予定だ」(SFDC広報)という。