セールスフォース・ドットコム（小出伸一社長）は4月22日、新型コロナウイルスに対応している全国の保健所を対象に、業務支援クラウドパッケージを無償提供すると発表した。提供期間は9月30日まで。

　クラウドパッケージは、「Service Cloud」や「Lightning Platform Plus」のEnterprise Editionなど、Salesforceクラウド製品群の利用ライセンスと新型コロナ保健所業務支援システムで構成。住民からの相談記録のほか、帳票や患者らの行動調査記録などをデジタル化し、業務の負担を軽減する。ダッシュボード上で管轄地域内の感染者数や相談者数の推移などが把握可能で、県や国に報告が必要な集計作業も効率化できる。

　3月に千葉県船橋市からの相談を受け、同社は1週間ほどで住民からの問い合わせ管理機能をリリース。機能を随時追加すべく現在も開発中だが、必要な機能が一通り揃ったため、他の保健所にも無償提供することを決めた。

　各保健所に対しては、同社がSalesforceライセンスを提供し、賛同パートナーが導入支援や運用を担う。追加オプションとして、自治体専用の総合行政ネットワーク（LGWAN）接続を用意している。

　セールスフォース・ドットコム執行役員エンタープライズ公共・金融営業統括本部の小暮剛史・公共営業部長は「船橋市の保健所では、1日に約300件の問い合わせがあり、相談業務に抜けや漏れが発生していたほか、帳票類への記入や転記に非常に時間がかかっていた」などと説明し、「弊社だけでなく、パートナーの力も借りて保健所にクラウドパッケージを提供し、少しでも業務の役に立ちたい」と話す。（齋藤秀平）