機械部品のカタログ販売で知られるミスミグループ本社(大野龍隆社長)は、オンデマンド製造サービス「meviy(メヴィー)」の2020年度第1四半期(4-6月期)の累計ユーザー数が前年同期比で3倍の4万5000社に達した。この1年間、板金や切削などmeviy対象商品の拡大や納期の短縮を継続的に行ったり、システムの使い勝手を向上させる改修に力を入れたことがユーザー数の伸びにつながった。meviy関連の売り上げも「ユーザー数に比例するように伸びている」(吉田光伸常務執行役員)と話す。

吉田光伸 常務執行役員

 meviyは16年に始まったサービスで、ファクトリーオートメーション(FA)により製造プロセスの自動化・効率化を進めている。ユーザーがCADの3D設計データを送信すると即時に自動で見積金額を算出。受注が確定すれば製造機械にデータを送り、早ければ即日製造・出荷される。紙の設計図をファックスでやりとりして、見積もり、発注、製造するのに比べて時間を10分の1に短縮できる。

 これまでは組み立て加工メーカーが板金加工や金型などの切削をmeviyを通じて行うケースが多くを占めていたが、ここ最近は建設業や住宅関連会社などのユーザー企業の業種に広がりが出始めていることもユーザー増の追い風になっている。

 同社では、今年度からmeviyの海外展開に力を入れる予定で、まずは欧米市場への進出を本格化させる。米中貿易摩擦やコロナ禍など製造業を取り巻く環境は大きく変化しており、製造業は逆風を押しのけ、勝ち残るためにサプライチェーンの見直しやコスト削減、生産性を高める取り組みが加速。部品の調達を効率化するニーズも高まっていることを踏まえて、meviyの参入余地が大きいとみる。米中貿易摩擦で揺れる中国の製造業市場についても「最もポテンシャルがある市場」(吉田常務)と評価しており、ビジネスチャンスを探っている状態だという。

 また、コロナ禍のあおりを受けて国内の中小製造業が苦境に陥っているケースが垣間見られるとして、同社では8月25日から今年末まで、従業員数300人以下のユーザーを対象に総額最大10万円までmeviyサービスを無償で使える「ものづくり中小企業支援」のキャンペーンをスタート。調達にかかる時間を削減し、その浮いた時間で新しいデジタルツールに習熟したり、新商品のアイデアを練ったりして、「厳しい状況を打破して、次の成長につなげられるよう応援する」(吉田常務)ことがキャンペーンの狙いと話す。

 ミスミグループ本社は規格部品のカタログ販売を業界に先駆けて取り組んだことで成長してきた。だが、特注品については時間がかかっていたことからmeviyによってスピード化を図り、販売シェアの一層の拡大につなげる。(安藤章司)