
19年度決算で「Windows 7」のサポート期限終了によるPC特需が大きく影響して売り上げが伸びたこともあり、20年度はもともと減収増益計画だった。昨年8月には、新型コロナ禍の影響を見込んだ通期業績予想を発表し、売上高予想を8640億円から8390億円に下方修正。昨年11月の第3四半期の決算発表時にはさらに下方修正し、最終的に売上高は8300億円、営業利益573億円、経常利益584億円という減収減益計画に落ち着いた。通期決算では、売上高こそ計画を達成したものの各利益は計画未達という結果になった。SIや関連のハードウェア製品の販売が縮小したことが落ち込みの最大の要因だった。
通期での厳しい数字に比べて、下期は回復の兆候が顕著になっているという。同社が重点商材の筆頭に位置付ける複写機の販売台数は、第4四半期で前年度比12.9%増と大きく伸びた。大塚社長は「複写機関係はここ数年マイナスが続いていたが、第3四半期、第4四半期とも前年度比で伸長した。ドキュメントの電子化ニーズを捉えたスキャナーとしての活用を含め、単に複写機を入れ替えるという売り方ではなく、ソリューション型の提案が徐々にできるようになってきたということ。複写機のお客様1企業あたりの販売商材数も着実に増え続けている」と手応えを語った。
主な連結子会社の売上高は、業務アプリケーション開発のOSKが前年度比13.8%減の88億5400万円だったが、ITインフラ製品のディストリビューターであるネットワールドは3.1%増の1270億8300万円だった。大塚社長は「HCIやストレージ、セキュリティ、新しいネットワーク系のテクノロジーに強いという特徴を生かして順調に推移した」と説明した。
今年度の市場については、依然として新型コロナの影響もあり先行き不透明ではあるものの、公共、民需ともデジタル投資は進むと見る。得意とする複写機を含むドキュメントソリューションの拡販に引き続き注力するとともに、OSKが開発する基幹系と情報系を統合した業務アプリケーションパッケージを「DX統合パッケージ」として打ち出し、クラウドでの提供にも注力する方針だ。(本多和幸)