デル・テクノロジーズ(デル)はミッドレンジストレージ製品「Dell EMC PowerStore」シリーズを戦略製品と位置づけ、特にチャネルパートナー経由の間接販売で拡販に注力する方針を明らかにした。直近でユーザーの投資拡大が見込まれ、大きな商機があると判断。同社の入澤由典・常務執行役員パートナー事業本部長は「最強のミッドレンジストレージと自信を持って言えるほど競争力のある製品。市場環境も明らかに好転してきており、パートナーにとってメリットがある環境をしっかり整備して、ビジネスを大きく伸ばしたい」と力を込める。

 PowerStoreシリーズはデルとEMCの統合後に両社の技術力を融合させる形で新たに開発したストレージ製品で、2020年5月にリリースした。米デルで日本を含むアジア太平洋地域(APJ)のパートナービジネスを統括するティアン・ベン・シニアバイスプレジデント(SVP)は「一言で説明すればハイエンドの機能をミッドレンジ市場向けに提供するというコンセプト。デルの歴史上、最も急成長している製品であり、日本のパートナーにも非常に好評だ」と説明する。

 デルのAPJ地域における直近の業績を見ると、21年度(22年1月期)第1四半期はクライアントビジネスが前年同期比18%増、サーバーは28%増と好調だが、ストレージは2%減という状況。それでも「ストレージ市場全体がパンデミックの影響で大きく落ち込む中でデルの成長率は市場平均を大きく上回っている」(ベンSVP)という。ユーザーの投資動向も、リモートワーク環境の構築からDXを見据えたデータ活用環境構築にシフトしていく兆しが鮮明になってきていると見る。ベンSVPは「特にミッドレンジストレージ市場はパイが大きく、ストレージ市場全体の60%以上を占める。ここに競争力の高いPowerStoreを投入してビジネスを伸ばしていくことがデルの成長を大きく加速させることになる」と話す。

 日本市場でもストレージ需要の揺り戻し傾向は顕著だというのが同社の見立てだ。入澤常務は「今年4月以降、一旦ストップしていた大規模なITインフラへの投資を再開しようという流れが目立つのが実感。特にミッドレンジストレージ市場はしっかり伸びつつある」と商機の大きさを強調する。

 日本市場ではデルの売り上げの約60%がパートナー経由で、ストレージは特にその比率が高く、80%を超えている。グローバルの状況とは違い、日本のITインフラ製品市場ではまだまだ国産メーカーの強さが目立つが、ミッドレンジストレージ市場に限ればデルが過去2年連続でトップシェアを獲得しているという調査結果もある(IDC Japan調べ)。「製品が強力であるほどパートナーは売りやすいし、そこにPowerStoreという従来以上に競争力のある製品を投入できた。宮崎カスタマーセンターでのサポート体制などを備え、パートナーにとっては売った後の手離れもいい」(入澤常務)として、もともとパートナーとの協業を核に成長させてきたストレージビジネスがさらに急伸する環境が整いつつあることを示唆する。

 既にストレージビジネスで豊富な実績のある6社のパートナーを選定して特別なプロモーションプログラムを開始するなど、具体的なパートナー支援策も展開し、成果が出つつあるという。より幅広いパートナーがPowerStoreをきっかけに新規顧客を開拓できるような支援策も充実させたい考えだ。(本多和幸)