アイティフォーは、2024年3月期までの3カ年中期経営計画で、初の年商200億円超を目指す。売り上げの拡大に向けては、地方銀行や自治体、大学などと連携した地域ビジネスを重視。「首都圏と地域ビジネスの比率を半々にもっていきたい」(佐藤恒徳社長)との考えを示した。
佐藤恒徳 社長
中期経営計画では、昨年度(21年3月期)連結売上高162億円に対して、50億円近く上乗せして210億円の達成を目指す。昨年度の首都圏以外の地域ビジネスは売上高の約3分の1を占めており、ここを重点的に伸ばしていく。
新しい商材としてブロックチェーンの技術を使った地域のビジネスデータの流通基盤の研究開発に乗り出している。すでに地域の大学との産学連携による開発を始めており、まずは地銀や自治体、大学などの情報連携に役立てる研究開発に取り組む。
産学連携の研究開発では、例えば地方大学が発行する証明書を電子化し、証明書を必要とする自治体や企業にデータを渡すといった一連の業務フローを、信頼性の高いブロックチェーン基盤によって実現することを想定。大学と地域の各種機関を実際にブロックチェーンで結ぶことで安全性や信頼性を検証することも検討している。アイティフォー単独ではブロックチェーン技術の活用を研究する人材の確保が難しいことから、地域の大学の研究リソースと自社の人的リソースを足し合わせることで開発に弾みをつける。
アイティフォーは債権管理システムで全国の金融機関を顧客に持ち、小売業向け基幹システムで地方百貨店のユーザーを数多く抱える。地方銀行と連携して地域の小売業向けのキャッシュレス基盤を展開。決済端末の納入台数は数年で急速に伸び、直近で5万5000台を超えた。
自治体向けには滞納管理や催告業務などのBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)に力を入れており、地域市場での実績を積み上げてきた。今回のブロックチェーン技術の活用は、こうした地域経済の発展に欠かせないビジネスデータをやりとりする「安全で信頼できる情報流通のトラストサービスのインフラとして提供していく」(佐藤社長)考え。
また、システムの安全性、信頼性を高める一環として、台湾の情報セキュリティベンダーCyCraft(サイクラフト)のEDR製品の販売を6月から始めている。EDRはパソコンやサーバーの振る舞いからサイバー攻撃の有無を判断するとともに、ログを分析するなどして対処方法をユーザー側に提示する機能だ。CyCraftは最新のAI技術を駆使することで精度を飛躍的に高めており、アイティフォーでは地域の金融機関や自治体、ネット通販を手がける小売店などを主な販売ターゲットと位置づけている。(安藤章司)