システム運用のリスク管理ソリューションを手掛けるエンカレッジ・テクノロジは、今年3月にローンチした特権ID管理ソフトウェア「ESS AdminONE」で、SaaS・ASPサービスを展開するISV事業者らを対象とした新定額プランを開始した。従来プランは管理対象システムが500システムまで定額だったのに対し、新プランでは上限を300システムに引き下げ、低料金で利用できるようにした。合わせて、SaaS事業を開始して3年未満の企業に対して、大幅な割引を適用する特別条件も設定。新プランや特別条件を通じて、同社はこれまでつながりが薄かったISV事業者へのアプローチを強める狙いだ。
ESS AdminONEは、システムに大きな影響を与えることができる特別な権限が付与されたID(特権ID)を管理するソフトウェア製品。料金体系は一般企業の社内システムでの利用を想定したプランと、商用システムを扱うサービスプロバイダー向けプランを用意。サービスプロバイダー向けは一般企業向けよりも1システムあたりの単価を低く設定しているものの、既存のプランでは管理対象システム数の少ない企業にとっては利用しにくい面があった。
日置喜晴 取締役
パッケージ製品をSaaS化する場合、セキュリティ対策をベンダー側で行う必要があるが、小規模事業者にとってはコスト負担が大きく、採算面での課題となりうる。取締役の日置喜晴・マーケティング部長は「(新プランで)初期投資を抑え、採算ラインを下げられる」と強調する。
特別条件は、サービスプロバイダー向けのプランすべてが最大85%引きとなり、新プランを利用すると、初年度における年間費用が30万円と大幅に下がる。
新プランや特別条件の導入は、通信や金融業が主流である同社にとって新たな挑戦だ。今後1年程で10~15社への導入を目指す。将来的には、製品展開も含め、中小規模のISV事業者向けのビジネスを強化していく方針だ。日置取締役は「このセグメントを広げていきたい」と語り、今回のプランや特別条件を新たなチャネル構築の足掛かりとする考えだ。(藤岡 堯)