エンカレッジ・テクノロジ(石井進也社長)は2月9日、記者説明会を開き、特権ID管理ソフトウェアの新製品「ESS AdminONE」を発表した。3月上旬の提供を予定している。自社でもパートナー経由でも販売し、「3年間で300社に提供する」(石井社長)ことを目指す。

 新製品のESS AdminONEは、WindowsのAdministratorやLinuxのrootのような、システムに大きな影響を与えることができる特別な権限が付与されたID(特権ID)を管理するソフトウェア。梶亨取締役は、「『DX(デジタルトランスフォーメーション)時代に求められるIT統制システム』をメインテーマとして開発した次世代型の特権IDソフトウェア」であると説明する。

 外部からのサイバー攻撃への対抗策として、ゲートウェイによるネットワーク制御や、パスワードのランダム化、ワンタイムパスワードを使った個人IDの多要素認証など、多層防御の仕組みを備えて特権IDを脅威から保護する。また、OSやクラウドサービス、ネットワーク機器、IoT機器などさまざまなシステムに対して、共通のインターフェースによるパスワードレスでのアクセスを実現する。

 Webインターフェースを全面的にAPIとして公開することで、RPAやシステム連携における特権IDの利用を効率化し、システム運用管理の自動化ニーズに対応。また、アプリケーション基盤にはOSS やコンテナ技術を採用し、OS、ミドルウェアの種類やバージョンに依存しない環境を実現した。「長期にわたり安定的な環境で利用していただける」と、梶取締役は説明する。

 ESS AdminONEのサーバーがゲートウェイの役割を持つ「専用ゲートウェイ構成」と、対象システムへのパスワードレスアクセスをするための機能を専用ツールで行う「サーバー+専用貸出ツール構成」の2種類の構成を用意した。ネットワーク構成や要件に応じて柔軟に選択できる。ライセンスの価格体系として、一定範囲であればシステム数の増減が料金に影響を与えない定額制を採用。買い取り型ライセンスと年間ライセンスを選択できる。商用システム向けにシステム数無制限版も用意している。

 また、ESS AdminONEでは期限の定めがない「永久サポート」を提供する。その背景について、日置喜晴・取締役マーケティング部長は、「特権IDソフトウェアはいろいろなシステムを横断的に管理するシステムのため、長くサポートしてほしいという声を頂きながらも、ソフトウェアの性質上、OSやミドルウェアのサポート期限を超えるサポートを提供するのは難しい状況だった。今回、コンテナ技術を採用することによってそのしがらみを解くことができるようになった」と説明する。なお、旧バージョンとなった時点からの5年間は修正モジュール作成なども含めたフルサポートを提供し、その後はQ&Aと既存パッチの提供、移行のサポートに限定する。

 今後、少なくとも年に1回のペースで定期的に機能拡張を行っていく。次回は2021年度第3四半期(10~12月)中を予定する。システム連携の強化、クラウドサービスなど多様なシステムへの対応、管理面や運用性、セキュリティの向上を主なテーマとして機能を強化していく方針。また、従来製品の「ESS AdminControl」「ESS AdminGate」の機能を包括して統合していくという。

 これらの製品を利用している約140社の既存ユーザーには、ESS AdminONEへの移行を促していく。従来製品のライセンスについては無償で移行可能で、移行のためのコンサルティングサービスを有償で提供するとしている。(前田幸慧)