キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は10月4日、紙帳票からのデジタル化を支援する新しいBPOサービス「AI OCR×データ入力サービス」を発表した。自社で保有するBPOセンターのオペレーターの知見に、グループ会社が独自開発したAI OCRソフトを組み合わせることで、従来以上のコスト削減とスピードアップが実現できるという。11月1日にリリースする。
新サービスは、顧客が帳票の画像やPDFをスキャナやスマートフォンなどでクラウドストレージに送信した後、キヤノンITソリューションズが開発したAI OCRソフト「CaptureBrain」が帳票種別などを自動で処理し、オペレーターが補完して顧客に納品する流れで提供する。入力精度は99.9%で、これまで必須となっていた顧客が納品データを確認する作業は実質不要になる。他社も似たようなサービスを提供しているが、AI OCRの機能とオペレーターの補完をパッケージ化して提供するのは珍しいという。
手書き帳票や項目記載位置の異なる帳票でも対応できる。オペレーターが手入力していた既存のサービスでは、入力に数日かかることが課題になっていたが、今後は基本的に翌営業日に納品できるとしている。
タイプ別に3種類を用意した。最も廉価な月額3万3000円(税込)のスモールプランでは、既定の8項目のデータ化ができ、月100件分のデータ入力費用を含んでいる。100件を超えた場合は1件当たり220円(税込)の追加料金が発生する。ほかには、任意で記載項目を設定でき、月100件分のデータ入力費用を含む月額5万5000円(税込)のスタンダードプランと、任意の記載項目設定に加え帳票に記載されていない項目をデータに追記できる月額11万円(税込)~のカスタムプランがある。スタンダードプランで100件を超えた場合と、カスタムプランのデータ入力費用は、入力項目と件数で算出する。各プランともに別途税込5万5000円、同11万円、同22万円~の初期費用が必要。
国内では、企業を取り巻く環境は変化しており、業務効率化や人材不足への対応などが急務になっている。顧客の状況について、キヤノンMJの樽井由孝・BPO統括センターBPO企画部BPO企画第一課主任は「インフラの見直しやリソース配分の最適化などに取り組み、設備や環境が整った中で、業務のオペレーションをどう変えていくかというのが直近の改革の方向性」とし、「とくにバックオフィス系や本社のサブ業務の部分を再構築したいというニーズが高まっている」と説明する。
樽井由孝 主任
販売戦略では、中堅中小企業に加え大企業の部門を主なターゲットに設定し、ウェブやメールでの訴求のほか、自社の営業担当者を通じた提案を通じて導入拡大を図る。2023年までに中堅中小企業100社、大企業15社への導入を進め、新サービスと関連サービスで年間売上高1億円を目指す。
今後の展開としては、最新技術を活用してBPOサービスを充実させる方針。具体的には、チャットボットと有人のサポートを組み合わせた自己解決型の社内ヘルプデスクの提供を計画している。樽井主任は「お客様にBPOサービスをもっと認知してもらうとともに、課題解決に役立つソリューションやサービスを引き続き提供し、本業に専念できるようにバックオフィス業務のデジタルトランスフォーメーションを支援していきたい」と話す。(齋藤秀平)