クラウドソフトウェアの活用や定着を支援するソリューション「Pendo」を提供する米ペンドが日本市場での拡販に本腰を入れている。日本法人のペンド・ジャパンは、マクニカの社内カンパニーであるネットワークスカンパニー(以下、マクニカ)と一次販売代理店契約を結んだ。日本での一次店契約は初。マクニカはユーザーへの販売やサポートだけでなく、二次販売代理店の開拓・育成も担い、ペンドのパートナーエコシステム拡大を支援する。ペンド・ジャパンはこのパートナー契約を大きな推進力として、向こう1年で大手企業を中心に20社をユーザーとして獲得したい意向で、2027年1月期には100億円の売り上げを目指す。マクニカもPendo事業で独自の目標を掲げており、29年3月期までに20社のパートナー獲得と年間50億円の売り上げ達成を見込む。
Pendoはクラウド上で提供される各種ソフトウェアを対象に、ユーザーの挙動を網羅的に計測・分析して活用のボトルネックを可視化する。さらに、ソフトウェアの画面上にオリジナルのガイドをノーコードで作成・表示できる機能や、アンケートなどによりユーザーからの定量的・定性的なフィードバックを得る機能も備える。
ペンド・ジャパン 高山清光 カントリーマネージャー
ペンド・ジャパンの高山清光・カントリーマネージャーは「ユーザーの分析と定着支援のためのガイド機能の両方で市場のトップベンダーと目される機能を提供できているのがPendoの強み。データの分析に基づいて、必要なガイドを必要な人に絞って表示することができる」と説明する。
こうした特性上、Pendoはソフトウェアのメーカーとそのユーザー企業の両方を顧客対象としている。ソフトメーカーとしては米セールスフォース・ドットコムや米シトリックス、米オクタなどがユーザー企業に名を連ねる。ソフトメーカー側の採用事例では、ユーザー体験向上を目的として自社プロダクトにPendoを組み込んで提供するケースが多い。一方、ユーザー企業側がPendoを利用する場合は、自社で採用している複数のSaaSなどの利用状況を横断的に可視化し、業務の生産性向上に役立てることができるという。
マクニカは13年からSaaS商材の取り扱いを始め、SaaSビジネスの拡大とともにカスタマーサクセスにも注力してきた。Pendoの拡販に向けては、マクニカが扱うSaaSのユーザー向けにPendoを活用した定着支援サービスを提供する方針で、Pendoを新たなカスタマーサクセスの基盤と位置付ける。一方、二次店の販売パートナーやインテグレーションパートナーを整備して、マクニカが扱う商材以外でもPendoを利用したいというニーズにも積極的に応えていく。まずは大手総合電機メーカーなど市場カバレッジの広い大手ベンダーを中心にパートナーを開拓し、将来的にはSMBに強いパートナーの拡充も視野に入れる。また、Pendoの組み込みを検討するISVへのOEM提供や開発支援も行う。
マクニカ ネットワークスカンパニー 米満慎悟 部長
マクニカの米満慎悟・第3営業統括部第2営業部部長は「PendoのようなテクノロジーをベースにSaaSの利用率向上を促すことは、ユーザー企業のDX支援やITベンダー側のビジネス変革・成長につながる。その価値を理解してくれる仲間を増やしていきたい」と意気込む。(本多和幸)