イスラエルで創業したDevOps開発基盤ベンダーであるジェイフロッグ(JFrog)が日本市場で存在感を高めている。日本法人のJFrog Japanは、国内でのDevOps需要が追い風となり、今年度(2021年12月期)の売り上げ規模が前年度比で倍増する見込み。グローバルの上期(21年1-6月)売上高は9374万ドルで前年同期比35.4%増だったが、日本市場はそれを大きく上回る伸び率となった。「国内でもDevOps開発基盤の市場が本格的な拡大期に入った」と、JFrog Japanの田中克典ジャパン・ジェネラル・マネージャーは見ている。
田中克典 ジャパン・ジェネラル・マネージャー
DevOpsは開発と運用を密接に連携させるソフトウェア開発手法で、JFrogの開発基盤では、開発したソフトの版数管理のみならず、情報セキュリティ要件やOSSの使用許諾を満たしているかの確認、本番環境への配布の一連の工程を、単一プラットフォームで効率よく実現している。「継続的な開発、配布を繰り返す今どきのソフト開発手法によくマッチした基盤」(田中ジェネラル・マネージャー)であることから、世界で300万人以上のソフト開発技術者が利用している。20年9月には米NASDAQに株式上場を果たした。
今年7月にはセキュリティ検査に優れたソフト開発ベンダーであるビドゥ(Vdoo)を買収するとともに、9月にはIoT端末や自動車、建機といったデバイスのソフト更新の機能を開発するアップスイフト(Upswift)を買収している。また、同じく9月にソフトバンクグループのディストリビューターSB C&Sと販売提携を結んで国内販路を強化した。
ビドゥの買収によってセキュリティ検査能力が高まることから、設計・開発の段階からセキュリティ要件を実装する“DevSecOps”の需要を取り込みたい考え。また、IoTデバイスや自動車に組み込んであるソフトを更新することで機能を拡張することは、製品の付加価値を高める上で欠かせない要素となっており、こうした需要獲得も有利になると期待を寄せる。「ソフト開発企業のみならず、製造業ユーザーなど幅広い業種顧客から引き合いが来ている」(同)として、国内の事業規模拡大に手応えを感じている。(安藤章司)