SBIビジネス・ソリューションズの請求書発行サービス「請求QUICK」のユーザー数が拡大している。数字は非公開だが、同社主力の経費精算SaaS「経費Bank」シリーズの累計ユーザー数を追い抜く勢いだという。請求QUICKは今年3月にスタートした中小企業向けの新サービスで、請求書の発行枚数で月50枚まで無料で使えるとともに、請求書買い取りサービスやクレジット支払いに対応するなどの付加価値がビジネスを後押ししている。
夏川雅貴 社長
請求書作成・発行のSaaSサービスを巡っては、「業界最後発での参入となるため、既存サービスが実装している機能はすべて盛り込んだ」(夏川雅貴社長)ほか、金融サービスグループであるSBIグループの強みを生かす付加サービスの拡充に力を入れた。例えば、銀行に入金があったかどうかAPI接続で参照し、入金消込を自動で行う機能を実装するとともに、業界最安値の手数料でクレジットカードでの支払いへに対応。請求書の買い取りサービスも利用できるようにした。
カードによる支払いでは、ビザとマスターカードの場合は税別1.95%の手数料、今年6月23日から始まった請求書買い取りサービスでは基本手数料0.5~4%と割安な料金設定とした。企業間取引の支払方法のほとんどは銀行振り込みが占めるが、一方で「オンラインで取引が完結する商材が増えており、企業間取引でもカード決済が今後増える見込み」と夏川社長は話す。また、請求QUICKの主要な販売ターゲットが中小企業であることから、最短2営業日で請求書を現金化する請求書買い取りサービスによって資金繰りを支援していく。
同社の既存主要サービスで2008年に始まった経費精算SaaS「経費Bank」シリーズでは多くのユーザー数を獲得してきた。請求QUICKでは先行する他社サービスにはない金融サービスを充実させたことで、本年度(23年3月期)末までに「経費Bankのユーザー社数を超える勢いで伸びている」(夏川社長)と手応えを感じている。
(安藤章司)