法人向けスキャナなどを提供する米Kodak Alaris(コダックアラリス)のドン・ロフストロム・プレジデント兼GMはこのほど、BCNの取材に応じ、日本でのソフトウェア事業推進へ意欲をみせた。スキャナをオフィスのデジタルトランスフォーメーション(DX)の始点として位置付け、情報の集約や業務効率化を実現するソリューションを顧客に訴求していく。スキャン後の工程に必要な技術を有するパートナーとも積極的に連携し、日本でのエコシステム拡大にも努める考えだ。ロフストロム・プレジデントは「日本企業のDX支援という観点で、多くの商機があるだろう」と意気込んだ。
ドン・ロフストロム プレジデント
ロフストロム・プレジデントは、ソフトウェア領域での成長について「戦略的に主軸を移している。今後も投資を継続していく」と語った。現在、アジア・パシフィック地域の市場規模は約6億ドルで、そのうちソフトウェア領域は2億ドルほどを占めている。同社はソフトウェア領域の取り組みをさらに強化していく方針だ。
顧客ニーズに関しては「スキャンした情報をただ保存するのではなく、ビジネスのプロセスで活用することが重要となっている」とみており、Webベースのソフトウェア「Info Input Solution」など、スキャン後の工程を支えるソリューションの拡販に注力する。Info Input Solutionは、スキャンされた紙ベースの情報やメールなど、異なる種類の情報をインデックス化して管理し、次の工程での効率的な活用を実現する。
パートナービジネスに関して、ロフストロム・プレジデントは「RPAやAI-OCRのベンダーとの技術提携に取り組んでおり、日本のパートナーとの話し合いも進んでいる」と説明。日本法人の酒匂潔社長も「日本においても、スキャナとパートナーの製品のパッケージ化を積極的に進めている最中だ」と述べ、連携による商機の創出へ期待を寄せる。
一方で、RPAをはじめ人手を介さない技術は、エラーが起きた際のリスクにもつながる。ロフストロム・プレジデントは「エラーは画像が鮮明に読み取れなかったことに起因することが多く、高品質なスキャンを可能にする自社製品の引き合いは増えている」と手応えを語り、自社スキャナの強みである「ピクセルレベルまでイメージを処理できる技術力」を武器に、ハードウェア分野でもシェアを広げるとした。
加えて、セキュリティもハードウェア分野の競争軸になると指摘。スキャン時にデータをデバイスに残さない仕様を採用するなど、情報を守る仕組みを用意する。さらにロフストロム・プレジデントは「一般的なスキャナは、接続したPCを使って運用させているが、コダックアラリスではスキャナ側に処理能力を持たせており、クラウドに直接つなげられ、セキュリティが確保できる」と訴えた。
日本市場について、ロフストロム・プレジデントは「DXがまだ未成熟の段階であるという声を聞く」と課題感を示し、自社のソリューションで解決に貢献する姿勢を強調した。(大畑直悠)