サイオステクノロジーのオフィス向け座席予約管理SaaS「YourDesk(ユアデスク)」の本年度(2022年12月期)上半期末のARR(年間経常収益)が前年同期比1.5倍に伸びた。同社のSaaS商材のなかで「最も高い伸び率」(喜多伸夫社長)を記録し、一躍売れ筋商材となっている。出社とリモートワークのハイブリッド化、座席のフリーアドレス化が進むなか、「オフィスのどこに誰がいるのかを可視化し、出社中の対面コミュニケーションを円滑にしたい」との需要を掴んだ。
喜多伸夫 社長
YourDeskは、フリーアドレスの座席予約システムとして開発してきたが、コロナ禍期間中にリモートワークが浸透。オフィスを縮小する動きが相次ぎ、「従業員全員が出社しないことを前提としたフリーアドレス化が進んだ」(杉本卓・執行役員UI/UX・HR Tech担当)。さらに、オフィス内ではオンライン会議用の個室ブース、大画面/複数ディスプレイ席、集中的に作業するための静音スペースなど、勤務環境が大きく変わっている。
杉本 卓 執行役員
新形態のオフィスは、誰がどこにいるのか分からないケースが増えたことから、喜多社長は「YourDeskを単なる座席予約ではなく、雑談やメッセージのやりとりなど従業員のコミュニケーションを促進する基盤としての機能を拡充していく」との方針を示す。
稲田勇祐 SLリーダー
また、同社ではストレスチェック制度の仕組みを応用し、従業員のエンゲージメントを可視化する「OurEngage(アワエンゲージ)」を開発。「YourDeskのコミュニケーション機能と組み合わせることで従業員エンゲージメントの状況を可視化できる」(稲田勇祐・UI/UX・HR TechサービスラインSLリーダー)ようにした。従業員間の信頼感、心の結びつきを高めることで、生産性の向上や経営理念の浸透が期待できる。
両製品とも現在は直販の割合が高いものの、今後は販売パートナーにも「より多く取り扱ってもらえるよう働きかける」(喜多社長)と販路を広げる考え。
(安藤章司)