初日の特別講演には、サイオステクノロジーのプロフェショナルサービスSL上席執行役員である黒坂肇氏が、レガシーSIから脱却した自社の取り組みを踏まえてSIerが考えるべき新たなビジネスモデルを語った。

サイオステクノロジー
プロフェショナル サービスSL
上席執行役員
黒坂 肇氏

 長きにわたって国内のSIビジネスは、人月モデルや労働環境、不採算、崩壊の危機と、さまざまな問題点が指摘されてきた。結果、ユーザー企業や担い手である学生にも「SI業界は危ない怖い」「就職したら大変」「ブラック企業」と負のイメージを与えている。

 そのような中で同社は、従来型のSIビジネスをクローズする方向に舵を切った。旗振り役となった黒坂氏は、「リーマンショック以降、潤沢な開発案件があるわけではない。完成責任の所在や見積もりも曖昧で、工数ビジネスなので技術力よりもマンパワーを使う方がお金儲けになる。結果、エンジニアも疲弊していく」と指摘。最大の問題が、マーケティング力の欠如という。「『うちは明朗会計です、大量の人材を抱えて何でもやります』はもう成り立たない」と警鐘を鳴らす。

 そこで目指したのが、知見のあったオープンソースソフト(OSS)ビジネスの深掘りである。現在、ソフト開発は競争領域と非競争領域に分かれていて、国内携帯電話メーカーが自作に固執して没落したのに対し、グーグルをはじめテスラやGoPro、AirbnbがOSSを活用して成功していることを挙げ、“線引き”の重要性を指摘する。

 そこで、できることを明確にし、自分たちにしかできないこととやりたいSIに注力。ハードウェアが壊れたら駆けつけるような疲弊する仕事は止めたという。その上でOSSの考えに倣って吸収した技術をブログで発信し、弱点だったSIerとしてのPR力を強化。エンジニアに作業を代行するのではなく何かを生み出すビジネスであると意識付けした。

 その結果、OSS領域では国内100以上の大学に認証システムを導入、APIマネジメントで上流のコンサルやアーキテクチャー設計から案件を受けられるようになってビジネスが急成長。大幅な利益改善とエンジニアのスキルアップという成果を得て、赤字プロジェクトがなくなり、残業も大幅に減少したという。

 「重要なのは選択と集中。数年かけて回収しようはダメ。非競争領域に投資せず競争すべきところで努力すること。これで数字の上積みを求めてエンジニアが疲弊するようなこともなくなる」と黒坂氏は強調する。