「もの」がインターネットにつながるIoTのデバイスは、マイコンを使って処理をするので、必ず電力が必要になる。IoTデバイスの使用環境に、AC電源があれば、電力を気にせずにシステムを構築できるが、AC電源がなければ、電池を使用するので低消費電力に設計する必要が出てくる。どこか一箇所でも電流が漏れていると電池で駆動しても直ぐになくなってしまうので、評価とそのフィードバックに時間がかかり、結果として、電子工作の初心者にとって、電池駆動はハードルが高くなっている。
Leafonyは、ArduinoやRaspberry Piよりも小型でありながら、コイン電池で動く低消費電力化を実現した。また、Arduinoのソフトウェアが使えるため、電池駆動のシステム製作を身近にすることが可能になった。そのおかげで、日本電子回路工業会の第17回JPCA賞を受賞し、「DX を加速化させるツールとして、誰もが簡単に扱え、組み立てられ、新しいアプリを創造することが期待できる」と評価された。
LeafonyとArduinoとの比較
Leafonyの普及の場であるトリリオンノード研究会では、企業、大学や公設の研究機関も参加。 KDDI、ソニーセミコンダクタソリューションズ、パナソニック、東芝、東京大学、慶應義塾大学、東京都立産業技術研究センターなどの50社以上の団体がLeafonyを活用し、さまざまな提案を重ねてきた。また、IoTに取り組む企業同士を結び付ける交流会、コンテストや活用事例発表が好評である。
次に、各社のリーフのサードパーティの状況に関して紹介する。日清紡マイクロデバイスは、エナジーハーベスティング向け電源リーフやリチウムイオン電池向け電源リーフを商品化。ネクスティエレクトロニクスは、Analog Devices ADXL362を搭載した超低消費電力の加速度センサリーフの商品化し、チップワンストップで販売を開始した。また、秋葉原の商社である大和無線電機は、Leafonyを使って、PoC(概念実証)だけでなく、試作から小ロット生産、量産まで幅広い対応をしており、ユーザーから高評価を得ている。
密状態を検知・警告するエッジデバイス
■執筆者プロフィール

森 時彦(モリ トキヒコ)
MCPCナノコン応用推進WGオブザーバー
早稲田大学理工学部機械工学科を卒業後、東芝でノートパソコンの商品開発の業務に従事。現在、東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻「桜井研究室」研究員。