カスタマーサクセスマネージャー（CSM）について少しでも見聞きしたことがあれば、CSMを、顧客が採用したソリューションのライセンスやサブスクリプションを管理して解約を防ぐ職種と捉えているかもしれない。しかし、日本IBMのCSMとして活躍する澁谷慎太郎に話を聞くと、その活動は多岐に渡ることが分かる。
 

ビジネスパートナーと共にお客様にアプローチ

園田　CSMの活動はどういったお客様を担当するか、自身がどういうスキルを持っているかによって全然違うなと思うのですが、澁谷さんは普段どんな活動をしているのでしょうか。

澁谷　私が担当しているお客様のほとんどは、ビジネスパートナー（パートナー）様経由でソリューションをお求めいただいた方です。なので、パートナー様と共にお客様にアプローチするということになります。

園田　お客様もそうですけど、パートナー様との関係も重要になってくると。

澁谷　はい。私だけでなく、私が所属しているチームのCSMはほとんど同じ状況です。私は社歴が長いこともありパートナー様とのリレーションがそれなりに有るのですが、チームメンバーによっては、全くない場合もあります。ですので、これまでの経験やリレーションを他のメンバーと共有したり、相談を受けたりということもしています。また、コミュニティー活動などを通じて広くIBM外の方々とも交流しながらスキル向上も目指しています。

園田　具体的に、パートナー様へのアプローチというのはどのようにするのですか？

澁谷　CSMという役割は、まだまだパートナー様に十分には知れ渡っていません。なので、お客様に引き合わせていただく前にパートナー様にCSMはどのようなことをするロールで、お客様やパートナー様にとって役に立つ存在であると認識していただく必要があります。

園田　パートナー様からの認知をまず広げる必要があるのですね。IBMのCSMは、私のように一つの企業グループ様の専任担当の場合もあります。対して澁谷さんのようにパートナー様経由でソリューションを提供しているお客様を担当する場合などは、複数社担当することもあるかと思います。何社位担当されているのでしょうか。

澁谷　現在十数社担当しています。

園田　十数社。それは多い。

澁谷　はい。パートナー様もお一人で複数社のお客様を担当しています。パートナー様と私で各々複数社のお客様を担当している中で、担当が被るのは一社だけだったりします。

園田　CSMから見ると、お客様ごとに、別々のパートナー様へのアプローチをしないといけないということですね。

澁谷　はい。そして、一社のお客様の情報をパートナー様からもらう代わりに、そのパートナー様が担当されている別のお客様にもご紹介可能な、IBMソリューションのご紹介コンテンツを提供するようにしています。例えば、CSMが作成している動画だったり、デモだったりですね。IBMソリューションのご紹介方法をパートナー様になるべくシェアすることで、パートナー様と一緒に、お客様との付き合い方を広げていきたいと考えています。
 

“CSMチーム”として

園田　他のCSMからパートナー様へのアプローチ方法について相談を受けていると言っていましたが、具体的にはどんな相談が多いのでしょうか？

澁谷　多い相談は、どこの誰に連絡をすれば良いのかということです。お客様とは最初からあるレベル以上の会話をしたい訳ですので、連絡する前に可能な限りお客様の情報を整理しておく必要があります。

園田　なるほど。

澁谷　IBMが直接お取引させていただいているお客様の場合ですと社内で確認すれば良いのですが、パートナー様経由の場合、お客様の情報がIBM社内にほとんどない場合もあります。この場合、パートナー様にお聞きすることになりますが、その前に最低限整理しておくべき情報の見つけ方などの話をよくします。

園田　澁谷さんは4月まで営業や製品マーケティングのお仕事をしていましたが、他のCSMからの相談に乗る上で、そのあたりの経験や人脈も生きていたりするのでしょうか。

澁谷　はい。例えば先週あったのは、7年前に私と関わりのあったお客様をアサインされたCSMがいて、少し前まで担当していた社員を引き合わせることに成功しました。お客様を担当されているパートナー様を探すのにも、すぐには分からず知り合いのパートナー様にお願いをしないとわからない場合もあるので大変です。

園田　“CSMチーム”として、総合力でお客様やパートナー様にアプローチしているのですね。