SIerのゆめみは、ユーザー企業の“内製化支援”ビジネスを売り上げ全体の過半にまで拡大している。ユーザー企業にとっての顧客接点となる領域を中心に、内製化の動きが活発化。ゆめみはユーザー企業の内製化組織の構築から技術的な助言、デジタル人材の採用に至るまで総合的に支援することで支持を集めている。ゆめみの昨年度(2021年12月期)売上高は内製化支援が成長エンジンの役割を担うかたちで前期比で2割伸びており、「本年度も同様の高い成長を見込む」(片岡俊行代表取締役)と意欲を示す。
片岡俊行 代表取締役
内製化の需要は、一般消費者向けのスマートフォンアプリや各種ウェブサービスといったユーザー企業とその先の顧客の接点となる領域が多くを占める。顧客接点はライバル企業との競争に常にさらされている領域で、「エンドユーザーは少しでも使い勝手が悪いと感じるとすぐに使わなくなったり、他社に移ったりしてしまう」(同)リスクと直面している。
伝統的な基幹業務システムの維持管理を担ってきたユーザー企業の情報システム部門や情報システム子会社の組織では、変化のスピードに追随できないケースが散見される。また、顧客接点はユーザー企業にとって他社と差別化を図る上で中核となる領域であり、ここを外部のSIerに丸投げしてしまってはノウハウが社内に蓄積できない。
そこで、従来型の情シスや外部SIerに頼るのではなく、新しく組織を構築し直して変化に適応しようとするユーザー企業の動きが、ゆめみの内製化支援サービスの伸びにつながった。内製化支援関連の売上比率はほぼ半々」(同)という。内製化組織が立ち上がった時点で、サービスを終了する「卒業モデル」も評価を得た。
ユーザー企業に張り付いて内製化を支援する形態であることから、人員の頭数と売り上げが比例する構造にある。ゆめみの従業員数は約330人で、本年度の売り上げの伸びと歩調を合わせるかたちで、23年4月の新卒採用数は昨年比でほぼ倍の60人を予定。中途採用も含めて今後も積極的に人材を拡充していくことで、顧客のニーズに応えていく。
(安藤章司)