「オープンなら任せろ」。長年OADG(オープンアーキテクチャー推進協議会)の運営に携わり、10月1日付でOSDL(オープンソースディベロップメントラボ)ジャパンのディレクタに就任した。「91年からOADGの活動に関わってきて、日本でもPC─AT互換がスタンダードになった。Linuxの国内シェアは15%程度だが、これにとどまらない可能性をもっている」というのが、OADGジャパンのディレクタを引き受けた理由だ。
Linuxの普及が進みながらも、「OSDLの活動が果たして正しく理解されているだろうか。世界のOSDLのなかでジャパンの活動が重視されているだろうか」という思いがある。エンドユーザーにもベンダーにも、Linuxの普及が進むためにはOSDLジャパンの活動をもっと積極的にしなければならないと語る。そのために、コンピュータや情報技術に関する「あらゆる団体とのコラボレーションを図っていく」考えだ。時にはOSDLが表に出てリードし、ある場面では黒子の役目も果たす、変幻自在な活動を目指す。
「Linuxは文化であり、そこには哲学がある。オープンだから、誰でも参加できるという素晴らしさがある」と、Linuxの普及を確信する。組込み用などにもLinuxの導入が進んでいる。「ネット家電それぞれのセットをどう連携させていくか、解決策の1つがLinux。車載機器のOSにもLinuxが普及していく」。そうした素地を作るのがOSDLジャパンの活動だと胸を張る。やっぱり、「オープンなら任せろ」なのだ。
プロフィール
菊地 健太郎
(きくち けんたろう)1971年、横浜国立大学工学部電気化学科卒。同年、半導体の回路技術者として日本アイ・ビー・エム(日本IBM)入社。滋賀県の野洲工場勤務を経て、製品保証部門に移り、製品保証部長としてホスト、ソフト、パソコン、HDD(ハードディスクドライブ)、バンキングシステムなどあらゆるIBM製品の品質保証を担当。93年から日本IBMのOADG推進部長としてOADGの運営に関わり、事務局次長を経て03年4月から事務局長。日本IBMを退社し04年10月1日から現職。