家業は、東京都足立区内の中堅運送会社「藤倉運輸」。母親が社長。長男の藤倉さんが常務。実質、亡き父親の後継ぎだ。「不況なので、何でも運ぶ」。保有トラックは4トン車17台。昔は化学樹脂加工品を主に配送したが、「専門分野だけでは、経営は成り立たない」。
運送会社の悲喜こもごもを知る“ジュニア”が5年前、求荷求車のオンライン物流サイト「Tr@Box.net(トラボックスネット)」を立ち上げた。「とにかく、敷居を低く」。運送会社の現状を知るだけに、当初は「無料会員制」でスタートしたほど。
初めてパソコンを購入したのは、サイト開設1年前。日立製作所製のA4版ノートパソコンだった。当時は、「パソコンを開くことはほとんどなかった」。
今では、「簡単なホームページは作れる」程度にリテラシーは向上した。それでも、「ITは分からないことだらけ」という。「使う側の1人として」新たなコンテンツづくりにアイデアを巡らすのが、トラボックス社長の役どころとわきまえている。
運送会社は全国に約6万社弱。だが、「インターネットに繋がるパソコンの導入率は2割にも満たない」そうだ。「マウス1つでうちのサイトは使える。ITを使えば効率良く仕事が見つかる」と説く。
「“仕事を探すサイト”としての役割だけでなく、運送会社同士が悩みを交わす“情報交換の場”にする。運送業界の底上げに貢献する」のが夢だ。会員数が国内最大規模のサイトという「スケールメリットを生かし、啓発を続けたい」と、運送会社に向けたパソコン普及活動に余念がない。
プロフィール
藤倉 泰徳
(ふじくら やすのり)1967年生まれ、37歳。明治大学法学部法律学科中退。87年11月、日通北千住運輸に入社。「ペリカン便」の運転手を1年半経験後、実家の「藤倉運輸」で運転手。94年9月、藤倉運輸の常務取締役に就任。00年6月、トラボックスの社長に就任。現在、東京トラック協会副本部長、関東トラック協会青年部副会長など、運送業界団体の要職にある。