「何もないところから創造する」ことを活動のコンセプトにしている。
元々は建設業界の出身。「学生時代、最大の創造物は都市開発と考えていた」ためだ。大学卒業後に務めた設計事務所では、大阪府千里センターや大阪アメニティパークなど大型プロジェクトで設計やデザインなどに携わった。「創造していることを実感した」そうだ。創造することの喜びを感じていたにもかかわらずIT業界に転身したのは、インターネットに大きな衝撃を受けたからだ。
「インターネットは、まっさらな空間。しかし、人が手を加えればビルや商店街、道路などが形成される。“仮想都市”が誕生するなど、アイデア次第でいろいろなサービスが提供できることに魅力を感じた」
建築物の設計でCADを活用していた当時、不満を覚えたのがメールによる画像のやり取りだった。「回線速度が遅かったことが原因だが、インターネットでは画像が最大のコミュニケーションになると認識した。それが念頭にあったため、IT業界に携わっていくのなら画像関連」と決めた。それを実現するため、静止画や動画の処理技術でサービスを提供するリミックスポイントを設立した。
同社は、2004年3月の設立から順調に業績を伸ばしている。昨年12月には東証マザーズに上場。得意の画像処理技術にデジタル・コンテンツ管理を組み合わせた製品・サービス提供というビジネスモデルが市場で認められたからだ。「今は、製造業や研究所など対象ユーザーが特定業界に限られている。しかし、ブロードバンド環境が整っているため、確実に需要が広がる」と確信している。今後は、画像ベースの“ビジュアルコミュニケーション”という新しい市場を創造していく。
プロフィール
吉川 登
(よしかわ のぼる)1989年3月、大阪芸術大学芸術学部卒業後、建設会社の聖建築事務所に入社。大阪府千里センターや大阪アメニティパークなどのプロジェクトに参画する。96年、住商ファイングッズ(現・住商インテリアインターナショナル)に入社。その後、住友商事の物資部でEコマースプロジェクトやベンチャー事業などに携わる。01年、デジタルパブリッシングジャパン(現・セラーテムテクノロジー)に入社、取締役に就任。03年に同社の代表取締役に就任する。04年、リミックスポイントを設立、代表取締役社長に就任。