SSLサーバー証明書の市場で「打倒ベリサイン」を掲げ、国内で1%にも満たなかった米ジオトラストのSSLサーバー証明書のシェアを30%まで引き上げた。
「毎日決まったことをこなすような仕事はしたくなかった」。ラピッドサイト(現GMOホスティング&セキュリティ)に新卒で入社し、3年後、SSLを事業として立ち上げる際、自ら担い手として手をあげた。
わずか2人から始まった「日本ジオトラスト」はグローバルで1400に達する代理店の頂点に立ち、これから米ジオトラストとともに日本市場に適したサービスを提供していけるはずだった。その矢先、米ジオトラストはベリサインに買収されてしまった。「どうしよう、と思った」。
選択肢はいくつかあった。「商売をたたむか、ベリサインの代理店になるか、または自社単独で事業を続けるか…」。
考え抜いた末、3年間培ったノウハウをもとに自社で事業を継続することに決めた。同じ状況に陥っていた英ジオトラストヨーロッパ、ベルギーのルート認証局「GlobalSignNV」を傘下に収め、「日本ジオトラスト」から「グローバルサイン」として世界に踏み出した。
最近は米、英の営業拠点と日本を行き来する多忙な日々を送る。「人が作ったものを売るのではなく、自分たちでいいサービスを作り、提供していける立場になった。事業をまるでわが子のように育てている」。
国内でのシェアは30%だが、グローバルではベリサインの独占状態。「グローバルサインを世界でNo.1のブランドに育てる」ための挑戦は続く。
「いつかベリサインを抜いたら気持ちいいだろうな」
プロフィール
武信 浩史
(たけのぶ こうじ)■1978年、福岡県生まれ。01年専修大学経営学部卒業。同年、ラピッドサイト(現 GMOホスティング&セキュリティ)入社。代理店営業とウェブマーケティングを担当。■03年、日本ジオトラストの立ち上げに参画。企画営業部長。06年取締役に就任。■07年、グローバルサインに社名変更。仕入れ販売から自社開発・サービスへ。日本国内から全世界マーケットへ進出。