大学卒業後に新卒で入社したのは、外資系ホテル。オートノミーの熊代悟代表取締役は、社会人としてのキャリアをホテルマンからスタートした異色の経歴をもつ。
「ホテルで上を目指していた」。上昇志向のホテルマンであった熊代がIT業界に足を踏み入れたのは、ホテルの利用客からの何気ない誘いがきっかけだった。
もともと新しいモノが好きだった熊代にとって、IT業界への抵抗感はなかった。ホテルマン時代は、利用客の管理や売り上げの計上、システムメンテナンスに従事。「使う側から提供する側に立ちたいと思った。業務はもっと効率化できるはず」。IT業界に飛び込むだけの素地は、すでに熊代にはできあがっていたのだ。
当時勤めていたホテルでは、年功序列に対する反発に加え、「いろいろやり尽くした感があった」ことから、それをトリガーに転職を決意。IT業界を渡り歩く営業マンとしてのプロフィールに書き換えた。そして、グローバル企業の日本法人立ち上げにかかわることになる。インターウォーブンに籍を置いてからは、「ひたすらコンテンツマネジメントシステム(CMS)を販売していた」。2年ほど経ったとき、前任の日本法人代表取締役が退任し、その空席を提示された。熊代は、「認めてもらえた」と、嬉しそうに振り返る。
オートノミーがインターウォーブンを吸収合併した後は、オートノミーの代表取締役に就任。同社は、情報検索などで強みをもつ。ユーザーが欲する情報を瞬時に引き出すことができるサービスを提供している。
熊代は、「日本に紹介しきれていないプロダクトがたくさんある」と話す。今後は、新規パートナー企業を募り、拡販に努める方針だ。「まずは、Web支援はもちろん、検索も強化していきたい」。
熊代は、「皆で成功していく」姿勢を大切にしている。上司と部下という壁を取り払い、できる限り一対一で話し合う場を設ける。人と真剣に向き合う姿勢が、営業マンである熊代の魅力である。(文中敬称略)
プロフィール
熊代 悟
(くましろ さとる)1993年米国ワシントン州立大学経営管理学部卒。グローバル企業の日本法人立ち上げ等の業務に携わる。02年、日本ドキュメンタム入社。05年インターウォーブンに入社し、営業部長を経て、07年に日本法人代表取締役就任。09年、オートノミーによるインターウォーブン合併の後、オートノミー代表取締役に就任。