夏広泉は、日立ソリューションズの戦略商材であるポイント管理システム「PointInfinity(ポイントインフィニティー)」を手がけている。いわゆる小売業のポイントシステムで、決済システムと密接に連動することから金融部門に所属する夏が担当し、出身地が中国であることなどから東アジア・ASEAN地域の華人圏市場への拡販も担っている。
とはいえ、現実は「思うようにはいかない」と感じる場面がしばしばあるという。例えば、中国の「領収書」にもとづいて売り上げを計上する「領収書主義(発票主義)」だ。中国で商売をした経験があれば誰でも知っていることだが、「数年前までは、このルールを社内で説明するだけでひと苦労だった」と打ち明ける。
夏は、「自分だって日本に来た当初は、日本人の考え方がわからず、社会人になってからも日本の職場特有の“あうんの呼吸”を読む方法を同僚や先輩から学んでようやく理解できた」という経験を思い起こす。「その逆だと考えれば、中国や台湾、ASEAN華人圏の商慣習の違いを本社の開発部門に伝えることの大切さ、大変さがよくわかる」という。自分が経験したことだからこそ理解できるわけだ。
夏は、美しい水郷と菜の花で有名な江蘇省・興化市の生まれ。地元で有名な料理はアヒルのたまごを加工した「皮蛋(ピータン)」や、老酒に漬けたカニ「酔蟹(酔っ払いカニ)」で、実家はエビなどの水産加工会社を営んでいる。「小さい会社だが、子どものころから経営とは何かを体感してきた。このことは今の仕事でもきっと生かせる」と確信して、同僚たちといっしょに、ユーザーの経営に役立つIT商材を広くアジア市場に展開していく。(文中敬称略)
プロフィール
夏 広泉
夏 広泉(Guangquan Xia)
1978年、中国・江蘇省興化市生まれ。07年、武蔵工業大学(現東京都市大学)卒業。同年、日立ソフトウェアエンジニアリング(現日立ソリューションズ)に入社して、金融分野の仕事に従事。