調理師学校を卒業した。しかし、手になじんだのは、包丁ではなく、携帯電話だった。急成長を続ける携帯電話市場。どんどん進化する携帯電話。若さをもて余していた佐藤勝彦が、転職を決意するのは自然な流れだった。
まずは携帯電話の販売員になった。携帯電話は飛ぶように売れたが、そこで落ち着くことはなかった。市場の勢いとともに、野心はどんどん膨らんでくる。自分ならもっとできるはずだ。有志とともにテソロを起業。共同創業者として加わった。テソロでは、販売員時代に蓄積したノウハウを生かし、携帯電話の販売店などに販売員を送り込む販売支援業務に注力した。多くの販売店が販売員を必要としていて、事業は大きく伸びた。消費者のニーズが携帯電話からスマートフォンに変わると、販売員としての経験がさらに生きてくる。
「販売は原石を磨き上げて宝石にするようなもの」。スマートフォンを売ることだけに注力するのではなく、使いこなすためのアドバイスやライフスタイルに合ったアプリを紹介する。原石を磨き上げて、宝石にして販売するという考え方が、スマートフォンを使いこなしたい顧客ニーズにマッチした。たかがスマートフォンの販売。だが、「十分に違いを出せるし、出せたからこそ勝ち残ってきた」と自負する。
携帯電話やスマートフォンというモバイルデバイスを起点にビジネスを展開してきた佐藤だが、現在ではソーシャルメディアに注力している。人と人をつなげるのは、モバイルデバイスではなく、ソーシャルメディアに変わったからだ。新たな原石を求めて、野心はさらに大きくなっていく。(文中敬称略)
プロフィール
佐藤 勝彦
佐藤 勝彦(さとう かつひこ)
1978年、東京都生まれ。97年、調理師学校卒業後、調理師として就職。のちに携帯電話の販売会社へ転職。01年、共同創業者としてテソロを設立。