タクシー会社向けのクラウド型配車アプリ「smartaxi(スマートタクシー)」のビジネスオーナー(事業責任者)を担う山本恵美。実のところビジネスを牽引していくような“リーダータイプ”ではなかった。高校のときの文化祭では演劇の小道具担当の裏方、日本ユニシスに入社して社会人になった後も、先輩方のチームの末席に座り、発言も少なめ。

そんな山本に変化が訪れたのは、次世代のリーダーを育てる「プリンシパルプロジェクト~通称:平岡塾」でのことだった。平岡氏(現日本ユニシス社長)が直々に若手からアイデアを募り、次世代のビジネスに育てる取り組みだ。そこに参加して「詰めが甘いんじゃ!」などと、親身になって叱咤激励されるうちに、「ビジネスを立ち上げるおもしろさ、厳しさ」に興味を覚えた。
「もともとリーダータイプではない」と自分に言い聞かせていたが、心の奥のほうでは「ふいに頭をもたげてくる“思い”を抑え込んでいた」こともあった。振り返れば、高校のとき、みんなと力を合わせて演劇を成功させたとき、「心の底からおもしろいと感じている自分がいた」という。
山本は、日本ユニシスが十分進出できていなかったタクシー業界に食い込む配車アプリ「smartaxi」を企画し、2011年に首都圏の大手タクシー会社からの初受注にこぎつける。以来20社あまりのタクシー会社から受注を獲得。今年4月には功績が評価され社内MVS(最も価値あるセールス)を受賞している。
ちなみに山本の出身高校では文化祭に熱中するあまり、浪人する生徒が続出。地元予備校は同級生とともに実質「高校4年生」の状態で、山本もその一人だったそうだ。(文中敬称略)
プロフィール
山本 恵美
山本 恵美(やまもと えみ)
1983年、名古屋市生まれ。07年、早稲田大学政治経済学部卒業。同年、日本ユニシス入社。国内初のスマートフォン/タブレット端末を活用したクラウド型タクシー配車システム/アプリ「smartaxi」のビジネスオーナー。