泣く泣く地元の大学へ進学するが、そこは現代っ子。ネットを駆使して情報を集め、アルバイトで小遣いをかせぎながら全国各地の公演会場に足を伸ばした。あまりの熱心さに両親も折れて、県外での就職を許す。ジャニーズへの思いが具志堅を奮い立たせ、見事、NTTソフトウェア（現NTTテクノクロス）への就職を果たした。もちろん公演数が多い首都圏勤務だ。

　勤務時間中の具志堅は、いわゆる「モーレツ社員」。わからないことは徹底的に調べ、顧客への提案も積極的に行う。その熱心な仕事ぶりは上司や同僚が知るところ。ただし、一旦勤務を終えると「気持ちを100％切り替えて“自担”の次の公演のことに思いを馳せる」。「自担」とは、ジャニーズ用語で、自分が応援しているメンバーのこと。「自分が担当」の略。

　具志堅は今でも「自担がいるグループの沖縄公演をもっと増やしてほしい」と願う。地元に来てくれることは素直にうれしいからだ。まだ漠然とした思いだが、頻繁に来るのが難しいのなら、例えばNTTの研究所が開発する超臨場感の技術を使って、「あたかもその場にいるかのような映像や音響をリアルタイムに沖縄で再現できないか」。そして、もしそのプロジェクトが実現するなら、「絶対に自分が担当したい」と具志堅。切り替えている仕事とプライベートだが、そこはもの心ついたときからのジャニーズファン。モーレツ社員はそのままに、新境地をファン目線で切り拓く。思う念力岩をも通す、である。（敬称略）