「売り手」と「作り手」事情II
HDE
統合基盤の1モジュールとして HDEは2003年7月から、メール経由での機密情報の漏えいを防止するソフトウェアとして「HDE Mail Filter(HDEメールフィルター)」を販売している。アーカイブは、同製品の機能の一つとして提供されている。さらに4月20日には、完全無停止運用を実現したアーカイブソフト「HDE Mail Application Server #Archiver(HDEメールアプリケーションサーバー#アーカイバー)」を発売する予定だ。「メールシステムの運用は複雑さを帯びている。導入しても運用は難しい。この製品は当社が開発したメール統合プラットフォーム「Mail Application Server」のモジュール機能の一つとして提供する」(宮本和明副社長)予定だ。これによりネットワークの複雑さや運用負担などが解消できるようになる。「今後はマイニング機能の強化を図る。“宝の山”であるメールを基幹業務に生かす使い道もできるようになる」と、みている。
CSE
アーカイブで交流パターンを表示 コンピュータシステムエンジニアリング(CSE)は、メールアーカイブソリューション「WISE Audit(ワイズ オーディット)」の開発・販売を手がける。同製品は国内で最も実績があり、200社/50万ユーザー以上に導入されており、検索・参照機能が充実していることが強み。アーカイブの検索結果から、メール送信者を中心とした交流パターンを「相関図」で表示できる。「例えば引き継ぎをせずに会社を辞めた人のメールを見て、状況を把握したり、頻繁にメールをやり取りする社員を視覚化して確認することも可能」(早乙女隆二・第一システム本部アーカイブソリューション部副技師長)と話す。仮にPCがクラッシュしてもシステム管理者に断る必要なく、個人権限で自分のメールを復元する機能もオプションで提供。
今後は「SaaS/ASP型への対応も進めていきたい」(猪俣雄一・取締役事業企画推進本部本部長)考えだ。
ニッセイコム、日立情報システムズ
外部のやりとりや監査で必須 ニッセイコムは韓国メーカーであるテラステクノロジー(現ダウテック)社のメールアーカイブエンジン「TerraceVault(テラス ボルト)」を日立製作所のサーバー「HA8000」シリーズに搭載し、アプライアンスにして販売している。「韓国の製品を選んだのは、アジア圏で韓国製品がシェアを握っていることや、2バイト対応しているから」(金子英樹・システム技術開発本部システム企画部企画課課長)という。
販売開始してまだ半年しか経っていないが、証跡保存やクライアントにメールデータを置かないシンクライアントのような用途などで引き合いがきている。
「まずは直販でニーズや売り方をつかんだうえで、全国のビジネスパートナー経由での販売を強化したい」(高橋秀忠・情報通信システム第一営業本部営業第一部第一課長)と、チャネル販売を検討中。常にリプレース需要があるスパムメール対策製品と一緒に拡販する方針だ。
CSEの「WISE Audit」を販売している日立情報システムズは、メールをアーカイブすることについて「外部とのやりとりの際のリスク管理や監査法人の監査の際に指摘されることが多く、コンプライアンス的にはメールを残したほうがいい」(迫勝彦・アウトソーシングセンタ事業部 アウトソーシング営業本部主管技師長)と指摘する。J-SOX法需要は若干勢いが落ちてしまったが、メーカーの数も製品機能も充実してきているため、監査などとは異なる用途にメールアーカイブ製品を勧める機会が増えるという。
例えば、特定の日に配信したメールを復元したいなどのバックアップ用途や、「マイニングの機能を使って、メールをテキストベースに変換して分析するなど、日々の営業活動に生かすことができる」(迫氏)。
同社はアウトソーシング事業も積極的に行っているため、ユーザー企業がメールシステムの移設やリプレースを行う際などに、自社データセンターを使うアウトソーシングを勧めていく考えだ。
ネットワンシステムズ
サービス型のアーカイブ、浮上へ ネットワンシステムズは、カナダのグローバルリレーコミュニケーションズ社のSaaS型メッセージアーカイブ「Message Archiver(メッセージ・アーカイバー)」を販売している。このサービスは、カナダにある2か所のデータセンターから提供。二重の暗号化を施しているため、データを解読される危険性がない。また、地政学的にも中国やインドなどに比べてリスクが低い。日本では、競合他社がSaaS型で同様のサービスを提供しているが、「日本のデータセンターで運用しているサービスに比べて、大幅にコストを抑制できるのが強み」(山崎文明フェロー)と、サービス型のメールアーカイブで他社との差別化を図っている。
日本に限らず、「米国でもデータ管理を外部に任せることを懸念する企業はある。だが、米国の2万人規模の大手証券が、IT経費の削減を目的に同社のSaaSを導入した。コスト削減を前面に出せば、障壁を取り払うことができるとみている」(大西泰道・営業推進グループ・ソリューション本部第3ソリューション部副部長)と、SaaS/クラウド時代を見越した取り組みであることを明らかにしている。