SIer――クラウドストレージをパートナー向け商材として
大手SIerの日立製作所(日立)はクラウド事業に注力している。今年6月、AWSやSalesforceと連携したクラウドサービスを発売するほか、ストレージ分野でもクラウドソリューションの展開を加速。10月に、クラウドストレージ「Cloud on-Rampソリューション」を強化すると発表した。「Cloud on-Rampソリューション」とはどういう仕組みかを解説し、商材としての有望性を探る。
日立のクラウドストレージソリューション「Cloud on-Ramp ソリューション」は、大手クラウドベンダーやSIerから地方の小規模な事務機ディーラーまで、多くのITベンダーに新たなクラウドビジネス参入のチャンスをもたらすかもしれない。
一般的に、企業は多数の拠点・部門で分散してストレージを整備し、メールや画像などのファイルデータを蓄積・管理している。しかし、データ量の増加とともに、これらのシステムの導入や運用管理負荷が増大している。こうした分散・増大するデータを、クラウドで管理するのが、「Cloud on-Ramp ソリューション」の基本的なコンセプトだ。
●ローカル感覚でアクセス 仕組みとしては、DC側に、マルチテナント機能をサポートし、領域ごとのセキュリティを確保した信頼性の高いバックアップ/アーカイブストレージ「Hitachi Content Platform(HCP)」を置く。これに企業や企業グループの複数拠点からデータを自動集約して、一元管理する。ネットワーク経由で利用するサービスではあるが、ローカル側に専用装置を設置し、データのリンク情報のキャッシュを蓄積することによって、通信を意識せずに、ローカルシステム同様の感覚で、データに高速アクセスできるのが特徴だ。
ただし、これまでローカル側の専用装置として用意されていたのは、「Hitachi Virtual File Platform(VFP)」という仮想ファイルプラットフォームだけだった。これは、単体のファイルストレージとしても利用できる高機能製品で、高額なので、大企業内の多拠点間ファイル集約のようなシステム構築案件や、大手クラウドベンダーのオンラインストレージサービス基盤としての導入にとどまっていた。中小・中堅企業でも複数拠点のデータの一元管理というニーズは高いが、コストやストレージの設置場所といった問題で導入が難しかった面がある。
そうした状況を踏まえて、日立が今年10月に発表したのが、新たなローカル側の専用装置「Hitachi Data Ingestor(HDI)」。低価格でコンパクトなキャッシュ専用装置で、省電力構造になっているので、中小・中堅企業にぴったりだ。
●アイデアを吸い上げる 
南和男
パートナービジネス
推進センタ長 これによって、「Cloud on-Ramp ソリューション」は、ビジネス上の新たなポテンシャルを手に入れた。同社情報・通信システム社 ゼネラルマーケットビジネス統括本部 ビジネス企画本部の南和男・パートナービジネス推進センタ長は、「地方のOA商社のような小規模なパートナーからも引き合いがきている。エンドユーザーも、オンラインストレージをほしがっているということだ。すべての再販パートナーに日立が直接販売するのは難しいので、日立に代わってセンター側のサービスを進めるパートナーとの連携を進めながら、パートナー同士のビジネスマッチングの機会も提供していく。パートナーからも、ビジネスのアイデアを積極的に吸い上げていきたい」と説明する。
●基盤として拡販 このほか、自前でストレージクラウド基盤をもつのがコアコンピタンスではない業態、例えばアプリケーションベンダーがSaaS基盤として「Cloud on-Ramp ソリューション」を使うというケースも考えられる。いずれにしても、パートナーのビジネスに組み込んでもらい、多様なクラウドサービスの基盤として、広く拡販する意向だ。