2014年、午(馬)年。大草原を駆け抜ける白馬のごとく、躍動感のある1年としたいところだ。IT業界の経営トップも同じ思いだろう。本紙では恒例の『年頭所感』企画にあわせて、主要ITベンダーの経営トップにアンケートを行い、業績見通しや国内外の戦略、今年のキーワードといった項目に回答してもらっている。好景気ムードが続いているためか、挙げられたキーワードに強気の姿勢がみられるのは喜ばしいことだ。(構成・文/畔上文昭)
【Weather 2014】IT業界は「晴れ」
2014年のIT業界は「晴れ」──。4割を超える経営者が「晴れ」と答えた。「晴れ時々曇り」を含めると、実に7割を超える。ITベンダー各社は、好景気の波にうまく乗れたといえそうだ。IT業界の経営者の目には、明るく見通しのよい景色が見えるのではないだろうか。
昨年の天気は、全体では「晴れところにより曇り」とした。当時は政権交代直後(2012年12月26日・第二次安倍内閣成立)で景気回復に懐疑的だったし、中国との政治摩擦も不安要素となっていた。中国との関係は相変わらずだが、民間各社は政治とビジネスを切り離して、押すべきところと引くべきところを冷静に判断できるようになってきている。ゆえに「晴れ」の範囲が広がることになった。
2014年のIT業界には、大きな話題が二つある。「Windows XPのサポート終了」と「消費税率引き上げ」だ。いずれも4月のイベントになるので、3月末までは関連特需でIT業界は潤うことになりそうだ。ただし、特需ゆえに落ち込みの可能性も高くなる。アンケートの回答にあった「晴れ時々嵐」は、その落ち込みを見越してのこと。経営者が覚悟しているのなら、大きな問題にはならないだろう。
あとは、気持ちのいい天気をどう生かすかだ。晴れが続けば、熱中症になったり、空気が乾燥したりすることもあるが、意欲的な展開に期待したい。
今年の漢字は『力』
『週刊BCN』編集部が独自に選定した「今年の漢字」は『力』である。
IT業界をさらに飛躍させていくには「馬力」が必要という午年ゆえの語呂合わせもあるが、もちろんそれだけではない。アンケートで2014年のキーワードとして挙げていただいた文字の中に「力」が11件も出てきていることに注目した。2013年は2件しか登場していない。それほど今年は「力」を意識している経営者が多いということだ。
そのなかでも時代を象徴しているのが、「成長力」だ。好景気は一気呵成に攻める絶好の機会であることはいうまでもない。その波に乗って企業を成長させたいという経営者の意識が「成長力」に込められている。アンケートでは飛躍や進化、脱皮など、「成長力」を想起させるキーワードが多く並んだ。
もう一つ、これからの展開に期待を込めて「突破力」を挙げたい。日系ITベンダーの海外進出の意欲は年々強くなってきているが、グローバル視点での存在感はけっして大きいとはいえない。景気が回復して、アジアの新興国も好調な今こそ、「突破力」を磨きたいところ。もちろん、グローバル展開に積極的な経営者にその意識は強く、アンケートでは本格展開や攻め、挑戦など、「突破力」を想起させるキーワードが多く並んだ。
ほかにも「協調力」「結束力」「解決力」「技術力」「創造力」「実現力」「実行力」「先見力」「転換力」など、『力』という漢字にはスローガンとして使ってみたいと思わせるパワーがある。景気の低迷時には、多くの企業は力を蓄えることに注力してきた。2014年は、その力を発揮する年である。【Global Market 2014】海外戦略は二極化
人口減少・超高齢化時代にある日本では、多くの企業が海外展開の必要性を感じている。とくにアジアを中心とする新興市場をターゲットにする企業は多い。それはIT業界にとっても同様で、アジアの新興国を中心に多くの企業がビジネスを展開してきた。アンケート結果によると、約6割の企業が海外に進出しており、引き続きビジネスを展開していくとしている。一方、海外に進出しない企業は4割近い。そこには「その他」とした約2割の企業も含まれており、海外戦略は進出の有無で二極化が鮮明となっている。2013年と比較して「興味はあるが、進出するつもりはない」が大きく減ったのも興味深い。
海外への展開において、やはり無視できないのが中国だ。政治リスクや為替リスクを認めつつも、潜在需要の大きさを認めないわけにはいかず、多くの経営者が中国市場を重視している。収益化には何かと苦労するが、現地企業向けビジネスに商機を感じつつある企業も出てきている。また、競争力のある製品やソリューションは好調に推移しているという回答も多くみられた。
中国をオフショア開発の発注先としてみた場合、人件費の高騰という課題はもはや避けられない。生産性を向上させるか、付加価値の高い仕事を任せるなどの対策が必要となっている。それらが機能しなければ、オフショア開発の発注先はほかのアジア諸国に移っていくことになりそうだ。
海外ビジネスについては、中国一辺倒というわけではなく、多くのITベンダーがASEANへの展開にも積極的だ。日本企業がASEANに向かっていることもあり、そのサポートを足がかりとして、新規市場の開拓に力を入れ始めている。なお、欧米市場への関心を示す企業は、皆無といっていい結果となった。
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