会議
コミュニケーションの向上が
収益増など企業を成長へと導く
●コンサルティングで悩みを聞き出す 
内田洋行
村田義篤
部長 これまでと異なったワークスタイルに取り組むにはどうすればいいのか──。このような悩みを抱えるユーザー企業は少なくない。しかも、経営者層や総務部門、営業部門と、立場や部署によって課題が異なり、取り組むワークスタイル変革もさまざまだ。内田洋行では、「Change Warking」をコンセプトにコンサルティング部門を組織化し、まずユーザー企業が抱える問題を洗い出して、製品・サービスを提供。業務効率化や収益の確保、人材力の強化など、ユーザー企業から出ているワークスタイル変革を実施するさまざまな理由を精査して、具現化したのが「会議」を切り口とする製品・サービスだ。
内田洋行で法人向けビジネスを担当する村田義篤・情報事業本部企画部部長は、「ペーパーレスなどコスト削減に取り組みたいというニーズも依然として旺盛だが、一方で組織内外のコラボレーションを求める声も非常に高まっているなど、『攻め』のIT化に取り組むケースが増えてきた。このような状況から、会議に関連する製品・サービスの提供に力を入れることがユーザー企業を増やす要因と判断している」という。
具体的に提供しているのは、「ペーパーレス支援」と「コラボレーション支援」など。ペーパーレス支援では、スマートデバイス向けコンテンツ共有サービス「moreNOTE」と、クラウドのストレージ環境にスマートデバイスからアクセス可能な「Direct POD」などを提供。コラボレーション支援では、無線対応プレゼンテーション機器「ワイビア 3」とワンクリックで画面共有を実現できるプレゼンテーションシステム「クリックシェア」を組み合わせて提供している。
また、「会議室運用効率化支援」の切り口で、クラウド型のグループウェアと連携した機器「スマートルームズ」を提供。この製品・サービスでは、「オフィス家具と組み合わせて提供するケースが多い」という。ワークスタイル変革は、内田洋行にとってIT関連とオフィス家具のコラボレーションとなることから、売上高が前年比120%を超える成長ビジネスに位置づけられている。

内田洋行は「スマートルームズ」で効率的に会議室を予約できることを訴えている ●VCをベースに変革を提案
「ViCreA」を浸透させる 
リコージャパン
赤松俊雄
室長 プリンタや複合機などをメインビジネスとするリコージャパン。同社は今、新規事業としてVC(ビジュアルコミュニケーション)関連の製品・サービスの提供に力を入れている。リコー製のビデオ会議システムをベースに、インタラクティブホワイトボードやプロジェクターなどを組み合わせてワークスタイル変革を提案している。
同社では、実際にワークスタイル変革を実現したライブオフィスを「ViCreA」と称して複数拠点に設置している。ViCreAでは、ビデオ会議システムやインタラクティブホワイトボードなどが設置してあり、持ち運びに便利なデスクエッジのプロジェクターも使って社員がさまざまな場所でコミュニケーションを図っている。赤松俊雄・ビジネスソリューションズ本部VC事業推進室室長は、「当社は、ワークスタイル変革を実現するコンセプトを『ハドルコンセプト』と称して、ミーティングしたい時にすぐにメンバーが集まってコラボレーションを行い、迅速に意思決定をした後はすぐに解散して仕事に戻るという動き方に取り組んでいる。この経験を生かして、当社の営業担当者が実践したことをユーザー企業に提案して案件を獲得している」という。移転のタイミングでオフィスをViCreAのように仕上げたいという要望が多く、「大企業を中心に、さまざまな業界で導入が進んでいる」と、赤松室長は手ごたえを語る。

リコージャパンはインタラクティブホワイトボードで質の高い会議ができることを訴求 リコー製のビデオ会議システムは、会議室の規模として大・中・小、どの規模にでも対応できるラインアップを揃えている。初期費用が他社製品の半分程度で、月額料金も3000円からとリーズナブルだ。そのため、「まずはビデオ会議システムだけを導入するケースもある」(長谷部毅・ビジネスソリューションズ本部VC事業推進室VC商品グループリーダー)という。VCを専門に販売する担当者を組織化して新規顧客を開拓。加えて、ワークスタイル変革を専門に提案する担当者も配置している。いまはViCreAの普及を念頭に置いて直販でビジネス拡大を図っているが、「ビデオ会議システムを販売してくれるパートナーが増えてきていることから、今後は間接販売でViCreAのコンセプトを広げられるような取り組みを進めていきたい」(赤松室長)との考えを示している。
オフィス内のレイアウト改善
ネットワーク構築まで網羅した
「EmpoweredOffice」の需要に手ごたえ

NECネッツエスアイ
湯江明史
本部長 オフィス内のレイアウト改善で、ワークスタイル変革を実現するユーザーニーズも進みつつある。NECネッツエスアイでは、ユーザー企業の社内を総合的にプロデュースするブランドとして「Empowered Office」を提供しており、関連の製品・サービスを提供。設備やネットワークなどインフラ構築からIT関連の製品・サービスの提供までを網羅したEmpoweredOfficeの売り上げとして、今年度(2016年3月期)に300億円を目標に据えている。
EmpoweredOfficeは、ワークスタイル変革をコンセプトに、社内レイアウトの改善、IPテレフォニーなどコミュニケーションツールの提供、セキュリティ、ファシリティ、運用マネジメント、コンサルティングなどを提供するもので、2007年から提供を開始。IT関連の製品・サービスを提供するだけでなく設備の改善にも取り組んでいることが強みになっている。湯江明史・エンパワードオフィス事業統括本部本部長は、「社内のインフラから始まった当社だからこそ実現できるソリューション」と自負している。これまで出版業や放送業などで導入実績があるほか、自社内にも導入して「見学に訪れる企業が前年と比較して1.4倍に増えた」とアピールしている。

遠距離の壁を取り除く「スムーススペース」 なかでも、最近になって好評なのが拠点間をつないでコミュニケーションを図ることができる「スムーススペース」だ。二つのスクリーンや壁面にプロジェクションマッピング技術を使って、すぐ隣にいるかのように遠隔地の空間を投影する。「距離感が縮まって、遠隔地の社員と気軽に立ち話ができることや、荷物置き場になりがちなフロアのデッドスペースを有効活用できる点などが評価されている」としている。
今後は、メーカーとのアライアンスをさらに強化する方針。ビデオ会議システムのポリコムや『Office 365』を提供する日本マイクロソフト、什器メーカーなどとワークスタイル変革で協業しており、加えてクラウド事業者とパートナーシップを組むことによって、EmpoweredOfficeのサービスを充実させていく。
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