Special Feature
「みちびきビジネス」本格始動へ 衛星を活用したIoTの新境地
2016/04/28 21:33
週刊BCN 2016年04月25日vol.1626掲載
記者の眼
新しい「社会インフラ」が出現 GPSとは役割が本質的に異なる
「みちびき」への認識において、GPSの精度を上げたものとするのは決して間違いではない。GPSを活用している多くの製品が、精度を上げるために「みちびき」対応を進めていて、ユーザーはその恩恵を受けることができる。
ただし、それは「みちびき」を活用するにあたっての一面に過ぎない。「みちびき」の本質は、位置情報を活用した新たなビジネスを可能にするところにある。GPSでは信頼性の低さから実現しなかったサービスの提供が、「みちびき」によって可能になるのである。IoTとの融合も大いにあり得る。
例えば、駅のホームで電車を待っていると、自分が乗るべき電車がいまどこを通過して、何分後に到着するのかがわかる仕組みになっている。遅れているとすれば遅延時間を分単位で知られてくれるのが日本の鉄道のすぐれたところだ。これらの情報は線路に設置された物理センサ(IoTの一種といえる)によって成り立っているものであり、もしGPSを使ったとしたら、誤差が大きすぎて日本のユーザーには耐えられないだろう。しかし、「みちびき」という自国の情報基盤によって精密測位が可能になれば、物理センサを使用しなくても、正確なサービスを提供できるようになる。物理センサのメンテナンスからも解放される。
確かに衛星測位は地下鉄では使えないし、トンネルのなかも「みちびき」を捉えることはできない。ただ、そうした部分はIoTソリューションと併用すればいい。
位置情報はデータである。そう考えれば、交通や車載の分野だけでなく、営業支援システムや顧客管理システム、物流管理システムなどに応用するなど、システム構築を手がけるSIerにとって「みちびき」の活用がビジネスチャンスを広げるきっかけになる可能性がある。IoTの可能性を拡げるという発想も有効だろう。衛星測位を社会インフラの一つとして、自社のビジネスに取り込んでいくことを検討する価値は十分にある。
交通や車載システムが大きな変革期に差しかかっている。準天頂衛星「みちびき」3機が2017年にも打ち上げられることで、日本版GPS(全地球測位システム)の商用サービスが2018年をめどに始まる見通しだ。先行的に打ち上げた1機を使って、すでにさまざまな実証実験が進んでおり、情報サービス業界においても、「みちびき」を活用したビジネスを模索する動きが出てきている。(取材・文/安藤章司)
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