●NTTデータの海外大型M&A
北米市場での存在感を高める
NTTデータ
岩本敏男
社長
50社決算表のトップに位置するNTTデータの今期(2017年3月期)業績見通しには、現在、グループに迎え入れる準備を進めている米デルのITサービス部門の業績がまだ反映されていない。早ければ上期中にも手続きを終えて、下期から連結対象になる見込み。同ITサービス部門の売上規模はざっと3000億円で、従業員数は約3万人とNTTデータの過去の海外M&A規模のなかでも最大規模となる。
直近のNTTデータの海外関連の売上高は約5196億円で、デルITサービス部門の売り上げを単純合算すると8000億円規模となり、NTTデータが掲げる「国内と海外の売上高を半々にする」(NTTデータの岩本敏男社長)目標に向けて大きく前進する。直近の海外勤務の従業員数は全体の6割近くを占める約4万6500人。これに約3万人が加わることで国内と海外の従業員比率は海外が7割近くに達する勢いだ。
とりわけ北米市場におけるNTTデータの存在感は大きく高まることになり、NTTデータの悲願でもある「グローバルブランドの確立」に向けて、また一歩近づくことになる。岩本社長は「当社のフリーキャッシュフローの範囲内」であれば、今後も海外M&Aを継続する姿勢をみせるが、M&Aはどうしても“のれん代”の償却が利益を圧迫する要因になりやすく、現時点でのキャッシュフローを生みだすカギを握るのは国内ビジネスである。
NTTデータでは、国内既存市場でのシェア拡大、利益増に力を入れており、例えば年間売上高100億円超の顧客数は、過去5年間で1.6倍に増やすなど、NTTデータが言うところの「リマーケティング」によって国内既存ビジネスを活性化。これを原資として海外でのプレゼンスの向上を推し進めていく方針だ。
